3日前から、朝、わが家の近くに交通警備員が立っている。

立ち位置を正確に言うと、「我が家から西へ三軒進んだ角」。
私の出勤時、1人でそこに立っているのだが、実は、なぜ立っているのかわからないのである。

私が出勤してしまったあと、そのあたりで電気か水道か、何らかの公共工事が行われるからではないかと思うのだが、それらの工事の痕跡は見当たらない。
あるいは、警備員が立っている角地から、南に下ったところで新築工事をしているので、そのためなのかもしれない。
しかし、だとしたら、車の流れからしてその立ち位置はヘンなのだ。

職人も、作業員も誰もいない。
ひとりでぽつねんと立っている。
正直に言ってしまおう。とても不審なのだ。

私はその角を車で左折する。当然、一旦停止して、左右を確認してから低速で曲がる。
その一連の動作中の何秒間か、警備員は、私の車の中を前の座席から後ろの座席まで、チェックするような視線でのぞきこみ、ネチネチ見るのである。
そのあと、私の顔を見る。
挨拶モードの表情ではない。ぞっとするような視線で凝視するのである。
もちろん、車の誘導など、全くしない。

毎日、決まった時間に出勤し、そのあと我が家は無人になることなど、3日も立っていればまるわかりだ。
一応、ちゃんとした交通警備員の服装なので、よもやそんなことはないと思うが、この警備員の視線は私を十分恐れさす威力を持っている。




知っている視線が人を射抜くこと
鞠子