【雪にまつわって2題】

記録的大寒波で、ふだん降らないところに雪が降った。
雪に慣れていない地域は本当に大変だと思う。
それなのに、どちらかと言えばふだんは降るこの地域、たいした雪量ではなかった。
ただ、なんと言っても気温が低く、路面がスケート場みたい。
そこで、今日は、雪にまつわって2題。


(1)電車、遅れた。
乗るべき在来線、10分遅れ。
ようやく乗ってほっとするのもつかの間、今度は車内放送が気になってしかたなくなった。

「まもなく○○駅です。本日、雪のため列車が遅れ、ご迷惑をおかけしました」

停車駅に近づくたび、こう言うのである。
しかし、厳密に言ったらおかしいではないか。
列車が遅れたのは「雪」のせい…と前置きしつつ、なぜJRは「ご迷惑をおかけしました」と謝るのか。

わかってる。
これ、社交辞令。クッション言葉のようなもので、心底、謝っているわけではない。
しかし、多かれ少なかれ、みんな、電車が遅れてあせっている。
そこに「心にもない謝礼」は意味がない。それどころか私のようにコウルサイ乗客は、逆に「イラついてしまう」。

だからいっそ、こんなふうにしたらどうか。

「まもなく○○駅です。本日、雪のため列車が遅れました。皆様も、足元には充分お気をつけ下さい」

…ん? そんなこと、言われなくてもわかってる、か…


(2)しかし、「足元に気をつける」以前の問題として

そんなことで、車内放送にクレームをつけつつN駅で降りた。
ほら、言わんこっちゃない。
大勢が下る改札への階段で、若い女の子が滑って転んだ。

彼女が手にしていたスマホが飛んだ。
どうやら、歩きスマホをしていたらしい。
後方にいたおじさんが、スマホを拾って彼女に渡した。

無言。
彼女は無言でスマホを受け取った。

え、それはあかんやろ・・・と怒る間もなく、彼女は即座に再び歩きスマホを始めたのである。
そして、数段、降りたところで、また滑って転んだ。

痛い目にあっても、スマホを手ばなさないその執着心。
2回続けて転んでも、大事に至らない若さ。
目の前の恩人よりどこか遠くにいる友人。

・・・感嘆、失望、落胆、腹立・・・
2回の転倒で、私の心の中は、いろんな感情が複雑に渦を巻いた。
到底理解できない行動の彼女だった。



雪がほら貴方と私近づける  鞠子