『黄金のアデーレ  名画の帰還』を観てきた。

クリムトの『黄金のアデーレ』の所有権を巡る裁判を描いた作品なんである。

へぇ、知らなかった。
あのクリムトの絵が、ナチスに奪われた過去を持ってたなんて。

クリムトの絵は、初めて見たときただただ驚いた。
金ピカなんだけど、えもいわれぬ品があり、また、東洋的な香りが胸をうつ独特の作風。

改めて『黄金のアデーレ』を見ると、ゴージャスなのに表情が悲しげで沈んだ目をしており、あたかも行く末を憂うかのようにみえる。

一枚の絵に歴史の恥部が、多くの人の人生が包含されていた。

なにより、
最初は「金儲け」が目的で裁判を引き受けた若手弁護士が、歴史に突き動かされ変貌していく様、弁護士の妻が、夫の信念を支えるべく、困難をしょって立つ強い姿が、感動的だった。

なかなか見ごたえあるオススメ作です。



黒い目が悲しみじっと写しこむ      鞠子