10月27日から11月9日までを『読書週間』というのだそうだ。
終戦後、出版社、図書館、マスコミも加わって、「読書の力によって平和な文化国家をつくろう」をスローガンに制定されたとのこと。
…などという週間も、制定のいきさつも、私は初めて知ったのだが、この読書週間を切り口に中日新聞の編集局長が書いたコラムのなかにもまた、初めて知った切ないエピソードがあった。
作家の出久根達郎さんの著書から引用してあった。
昭和15年、陸軍から岩波書店に岩波文庫の大量注文がきた。
戦地の兵士に送るためだという。
ところがその注文リストときたら、『小僧の神様』『銀の匙』『虞美人草』『あしながおぢさん』『アルプルの山の娘』…
およそ戦時色のない本ばかりだった、という。
生きるか死ぬかの瀬戸際でも、こういう類の本を求める。
いや、瀬戸際だからこそ、こういう本が必要なのかもしれないな。
確か姜尚中さんがこう言っていた。
「食物はからだに必須の栄養。本は心に必須の栄養」
今やBOOK・OFFに行けばほぼワンコインで、Amazonなら1円で、数々の本が手にできる。
この金額がいいか悪いかは別にして、こんなに手軽に栄養が得られること、幸せ以外のなんでもないなとつくづく思った。