歯科の診察台で、「型」をとる処置を受けていた時のこと。
隣の診察台に、次の患者さんが呼ばれた。
若い男の子だ。
なんでも、左右上下の親知らず4本すべてに不具合があると訴えている。
1本は埋まったまま、1本は少し頭を出している、1本は外向きに頭を出し、頬の内側を傷つけており、最後の1本は隣の歯を押しているらしい。
ただ、今のとこ、時々違和感がある程度で、我慢できないほどの苦痛ではないのだそうだ。
おまけに、歯質が丈夫みたいだ。
ははは、訴えも診断結果も丸聞こえじゃん。
個人情報もへったくれもない。
だが、型とりのゴムみたいなの、噛んでるだけの私には、絶好のひまつぶしで興味津々。
先生が、
「将来的には、親知らずと押されている隣の歯の間が虫歯になる恐れがある」と言っている。
わぁ、こういう「いつかは痛くなるぞ」宣告、嫌だろうな。
…などとお節介なこと、考える間もないほど、彼は明確にこう言った。
「あ、今、抜いて下さい」
(@ ̄□ ̄@;)!!(@ ̄□ ̄@;)!!(@ ̄□ ̄@;)!!
もう、びっくりした。
私など、親知らず1本、「痛みがあった」のに、1ヶ月ぐらい迷ったあげく、やむにやまれず抜いたのに。
ちなみに、
顔文字三連発の心境、先生も同じだったみたいで、「本当に今、抜きますか?」と確認していたが…
抜歯を迷わぬ勇気と潔さ。
ふと、思ってしまった。
…若いってすばらしい、と。
彼が抜歯を終える前に、私の型とりは終わってしまい、歯科を出た。
そのまま、バスに乗って出かけたのだが、車内でまた、若さを見せつけられた。
迷彩色の膝上ミニスカートをはいた女の子。
素足だったのである。
素足にスニーカーをはいていた。
(@ ̄□ ̄@;)!!(@ ̄□ ̄@;)!!(@ ̄□ ̄@;)!!
私など、朝、ジーンズの下はタイツだけにするか、その上にソックスをはくか、迷ったばかりなのである。
その上、ダウンにマフラーと完全防備。
素足にスニーカー、なんていでたちをしようものなら、冷えきってしまって、1日寝込まなきゃなんないに違いない。
…やっぱり、若いってすばらしい。
もちろん、抜歯即決も素足にスニーカーも、できるのは「若さ」だけが理由ではないだろうが、そんなチャレンジ、はなから考えもしないことが「若くない」証拠だと思い知った土曜日なのであった。