ジムのジャグジーバスで、しょっちゅう見かけるオジサンがいる。
少し、足が悪いみたい。
いつも静かに一人でやってくる。

私は泳いだ後、ジャグジーに行くのだが、そのオジサンは、ジムでマシントレーニングをしてからジャグジーに来るようだ。
プールでは見かけたことがない。

あいさつするでもなし、しないでもなし。
私は、誰か顔見知りが必ずいて雑談してることが多いので、オジサンときちんと話したことはない。

今日も顔を見ただけ。
私の方が先にあがり、更衣室へ。
シャワー、ドライヤーとお決まりの身づくろいをしてから更衣室を出た。
その時、男性更衣室から出てきたそのオジサンと、ばったり出くわした。
そしたらなんと、そのオジサン、極端に

(@ ̄□ ̄@;)!!

…という表情をしたのである。

ハデに(@ ̄□ ̄@;)!!…な表情で、私の方が面食らってしまった。
そしてオジサンは、こう言ったのである。

「メガネ、メガネかけとったんかねっ(@ ̄□ ̄@;)!!」

メガネったって、ごく普通のメガネだ。
一度も会話したことのない人が、よりにもよってメガネごときになぜそんなに驚くのか、わけがわからない。

あまりに想定外の発言で、私もとんちんかんな応対をしてしまった。

「コンタクトも使ってます」

…特別リアクション、なし。
それどころか、
「メガネか… 知らんかった。知らんかったなあ…」って一人、お呟きになっておられる。

もはやどうしていいかわからず、「お休みなさい」などと時候の挨拶をして、とっととその場を立ち去るしかなかったが。

今、冷静になってみても、オジサンの驚きの意味が、どうしても理解できない。
「メガネをかけていることが、そんなに不思議ですか?」となぜ聞かなかったんだろう。
もう、聞けやしないじゃないか。

動転すると、思考は止まってしまうものなのだ。