探偵C社との面談の日。
担当の方が最寄り駅まで来てくれて、
カラオケボックスの個室で行われた。
私より少し年下だけど、
面談員としての経験は豊富そうな女性だった。
「初めまして。
C社の佐藤と申します。
私の名刺はお財布には入れず、
この市販の封筒に入れて、
ご実家やお勤めの会社で保管ください」
調査対象者が探偵社の名刺を見つけてしまった場合、
相手に警戒され、調査が失敗に終わってしまうから、と。
そして、聞き取りが始まった。
夫とはどこで知り合ったのか。
結婚した時期。
子どもの年齢と人数。
単身赴任のこと。
いきなり離婚を切り出されたこと。
離婚前提で話を進め、
無視されたり、精神的DVを受けていること…
話しているうちに涙が出てきたが、
聞かれたことに対して、
感情を乗せすぎないように返答していった。
「一通りお聞きして、」
佐藤さんは、きっぱり言った。
「ご主人は不倫している可能性が、
限りなく高いですね」