鹿さん。イチゴ好き?

トキメキとドキドキとキュンキュンの詰まったお部屋です。

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テーマ:


「嫌だっ!離せ!」


「そう言うと離してもらえると
思っているのか?」


「とにかく離してっ!」


「往生際の悪い・・・。」


「馬鹿っ!ユノの馬鹿っ!」


「・・・俺が馬鹿なら
お前も馬鹿だな?」


「なっ!どうしてっ?」




ユノはぴたりと歩みを止める。
「皆の者。目を伏せろ。」
そう言うが早いか
僕の唇を奪った。




「むぅっ・・・んんっ・・・。」




僕はユノの胸板を
拳で叩いた。


こんなところでっ!
みんなが・・・


みんなが・・・・・


みん・・・な・・・・・。









くったりと静かになった僕は
そっと解放される。










「気が済んだか?
大人しく付いて来い。」


「でも・・・。」


「大丈夫だから。」


「大丈夫な訳ないよっ!」


「チャンミナ?
俺が今までお前に
嘘をついたことがあるか?」


「・・・・・ない。」


「今回も例外なくそうだ。
だから安心しろ。いいな?」









安心なんてできっこない。
今からユノがしようとしている事が
受け入れられるとは到底思えなかった。




僕はすごすごとユノの後に続く。
その後ろにはたくさんの家臣達。


そう今までもこの配置で歩いて来た。
でも今日は勝手が違う。


ユノと僕は白地の羽織に紺の袴。
着物には同じ白の絹糸で
所狭しと刺繍がしてあった。
不相応もいいところだ。
僕は一刻も早くこれを脱ぎたかった。










ユノがふいに立ち止まる。
大広間へと続く襖の前だった。




「何?どうした・・・
わぁっ!なんだよっ!
転んじゃ・・・う・・・。」




襖を開いたユノは
部屋の中に僕を押し入った。
文句を言いながらも
辺りを見回した僕は驚愕する。


大広間は襖を外され
奥の奥のそのまた奥の部屋まで
ひとつなぎにされていた。


なにより驚いたのは
もう豆粒くらい先の部屋にまで
家臣から使用人まで
そうたぶんこの城に関わるすべての人が
頭を畳みにこすり付けてお辞儀していた。









圧巻だった。




一言も発せない僕の手を引き
ユノは上座に向う。


もう抵抗する気力もなくて
僕はされるがままに後に続いた。









「皆の者。


面をあげよ!」




低くてでも澄み切った声が
一面に響き渡った。
ザっという音と共に皆の視線が
ユノと僕に集中する。


ユノは僕の手をしっかりと握り締め
大きく息を吸い込んだ。









「仕事の手を休めてすまない。
大切な話がある。心して聞くように。









俺は




今日からチャンミンと
この城を、そして城下を治めていく。


妻を娶る気もなければ
子を生す気もない。


この男と生涯を共にするつもりだ。


たった今から
チャンミンの言葉は
俺の言葉だと思え。


その言葉に背くものは
俺に背くも同じだと思え。


なぜなら・・・









俺は昨晩




チャンミンに一生の忠誠を
誓ったからだ。




チャンミンと俺は
一心同体だと思うように。」









凄い数の視線が
痛いくらいに突き刺さる。


皆の口はポカンと開いたままで
そこに言葉はなかった。









搾り出すような小さな声が
あちらこちらより聞こえてくる。




「それは・・・誠にございますか?」


「チャンミン・・・様と?」


「ご婚姻と捉えても?」




この時ユノは初めて僕を振り返り
にっこりと微笑むと




「俺の言葉に嘘はない。
それは皆が知っているだろう?」




そう言って僕を引き寄せ
抱きしめ・・・口づけた。














・・・終わった。
終わった・・・何もかも。
これからどうしよ・・・・・









「うおぉ~!!!!!」


「やったぁ~!!!!!」


「遂にっ!遂にこの日がっ!!!)


「長年の夢がっ!」




何百人という人間が一斉に立ち上がり
歓喜の声をあげ始める。




「婚礼の日付をっ!」


「隣国に知らせをっ!!!」


「あぁ!なんとめでたい!」


「今日という日を国の祝日に
しようではないか!!!」


「殿っ!チャンミン様っ!!」




ユノが幼い頃から仕えてきた
家臣の一人が声をあげた。




「おめでとうございます!
本当にめでたいっ!

私たちはこれからも今まで通り
殿とチャンミン様にお仕えいたしますっ!

勝手を申しますがただいまより
祝賀会の準備に入らせて頂いても
よろしいでしょうか?」




「ああ勿論。

美味しい酒と料理を用意いたせ。
チャンミンは沢山食うぞ?」


「承知いたしておりますっ!

さあさ、皆!
持ち場に戻ろう!
そして祝賀会の準備を致すのだっ!!!」


「うおぉ~!!!!!!!!!!」














「おめでとうございます!」の声と一緒に
皆が一斉に動き始める。


ボケ~っと身動きひとつできない僕を
ユノはもう一度抱きしめてこう言った。




「ほら、やっぱり。
旨くいっただろう?」


「これ・・・旨くいったの?」


「これ以上の成功が
どこにあるというんだ?」


「そうなの?」




僕は・・・
ユノを見つめる。


ユノの腕に力がこもる。




「ユノ・・・ありがとう。」


「礼を言うのは俺だよ、チャンミナ。
あの日出会ってくれて
迷わず俺について来てくれて
本当にありがとう。」


「ユノ・・・・・。」


「チャンミナ・・・・・。」









僕達は口付けを・・・









「お静まりをっ!




いちゃいちゃなさるのは
私達のいないところで・・・
まぁ無理ね・・・
今までも無理だったんだから。」




侍女さんが近寄ってくる。
満面の笑みを浮かべながら。









「さぁ!これからが私達の
腕の見せ所ですわっ!
付いていらして?お二人とも。
お召し替え致しますわよっ!

皆っ!腕によりをかけて
チャンミン様を
美しく仕上げるわよっ!!!」









ユノは小さく
「チャンミナだけかよ?」と
呟くものだから


僕はも小さく吹き出した。




背中を皆に押されながら


幸せを胸いっぱいに抱えながら









僕達は大広間を後にする。




繋がれた手は









一生涯



















離れることがなかった。






















最終話です。
ありがとうございました。
明日は番外編を一話
あぷしますねー❤️



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