私ね、
例えば大切な人よりも先に旅立ったとしても、
その人には前を向いていて欲しいの。
泣いていてもいいから、たまには上を向いて欲しいの。
あなたにそっくりな私がそう思うんだから、
あなたもそう思うと思うの。
あの日、打ちひしがれた私に
「上を向いて」って誘った月は、
きっとあなたなのでしょう。
私は今も、信じています。
月
♤手向けの花束 激しく燃えて 月へ登った
彼女と一緒なら 伝えておくれ
「愛しているよ」と
優しい風が僕の顔を撫でる
目覚めた僕は 君の、「おはよう」探す
夢でもし会えるならこのまま眠っていたかった
そんな気も知らず 今日も朝日が昇る
空駆ける鳥よ 高く飛んで向かった先に
彼女がいたなら、教えておくれ
どこにいるのか
♢優しい風が 君の顔に触れる
もしも私が 天使になれたなら
覚めない夢の中に現れることもできたでしょう
目覚め待つ私は 天使にならない
いたずらな風が 眠る君を揺り起こした
彼に届くなら 囁いておくれ
「側にいるよ。」と
月が綺麗だね だからたまに顔を上げて
私はここから 見守っているよ
愛しているから
夜の静寂に
君を見守る
(月/すずもあゆみ)
photo by Jiro Ogikubo