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行徳の訪問マッサージ師　田口です。

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脳出血を発症したＳさん（60代男性）は、右片麻痺（かたまひ）の後遺症がある患者さんです。

Ｓさんは片麻痺の影響で、立ったときに足裏がべったり地面に着かない状態になりがちです。

足首の”内側”が”反る”ので、この状態を『内反』（ないはん）と言います。

みなさんが足首をひねる（捻挫する）としたら、ほぼ100％この方向になります。

そして外側のくるぶし辺りが腫れますよね。

人体の構造上、足首の外側が反ることはないと言っても過言ではありません。

脳梗塞などで麻痺が生じた場合、足首の位置を制御できなくなることがあります。

この場合、曲がりやすい方向へ曲がる傾向があるのです。

つまり、内反の方向ですね。

Ｓさんの場合、立った状態で右足に重心をかけようとしたときによく見られます。

重心をかけると、ほとんど反射的に内反してしまいます。

そこで私は、「拇趾球（ぼしきゅう）を意識してみてください」とお願いしました。

拇趾球とは、足の親指の付け根の部分です。

【拇趾球】

ここを意識すると、足裏全体を使っているイメージをしやすくなるからです。

拇趾球を意識してもらって右足に重心をかけると、足裏全体を使えるようになってきました。

ただし何回か行ううちに、また内反するようになりました。

そこでもう一つ、お願いをしました。

「ご自分の目で足を確認しながら、重心を乗せてみてください」

Ｓさんは忠実に実行してくれました。

下を見てご自分の足を確認しながら、右足に重心を乗せます。

あるいは、私が大きな鏡を持ってきてSさんに見せたりもしました。

すると内反が起こらなくなり、何度行っても足裏全体が床に着いたままでした。

ここで私が意図したことはこういうことです。

頭の中でイメージしたことを、目で映像として確認しながら、実際の動きと一致させてもらいたかったのです。

例えば、狭い隙間に物を落としたとします。

頭の中で「この辺りかな？」とイメージして手を伸ばして探っても、なかなか取れないことがありますよね。

そんなときは一旦手を引っ込めて、物のある位置をもう一度目で確認するでしょう。

その上で再度挑戦すると、割と簡単に取れたりしませんか？

人間の動作において、目から入る情報はそれだけ重要だということなのです。

目から入った情報によって、その後の体の動きも変わりますよね。

この前提には、Ｓさんが頭の中で「足裏全体が床に着いている」というイメージを持ってもらえたことがあります。

イメージに加えて、実際の動きが映像として入ってきたのです。

そこで咄嗟に微調整がなされて、動きが体に反映されたのですね。

頭で感じることも大切ですよ。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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