善徳2次
【凍夜】
新羅中を木枯らしが吹き抜けたと思ったら、年の瀬に向かうにつれ、一気に寒気がなだれ込む。
年のせいか、チュクパンときたら毎日がこの冬一番の寒さだとぼやくほどだ。
年の瀬も押し詰まり、もうすぐ今年も終わりを迎えるとなると、あちらこちらで、1年の労を労う忘年会の話が持ち上がり、城中は皆、浮かれ気分であった。
そんな喧騒は苦手だと、それらお誘いをを袖にしたアルチョンは、いつもの馴染みの店へと向かった。
その店は都の外れ、賑わい外れの中にある「癒添夜」という店だ。
― 女将
少し飲ませてくれ
― これは、アルチョンさま
いらっしゃいませ
アルチョンは、いつもの席に座り、注いでもらったあたたかい酒を1杯飲み干すと、胃の腑がキューっと熱くなるのを感じた。
暫く目を閉じ、また、1杯と盃を重ねると、凍夜の夜が溶けていくようである。
数度繰り返したのち、暖かい菜に手を伸ばし、小腹を満たしていく。
菜は毎日、日替わりで季節の物が出る
この日は、レンコンと白菜の汁物に鯔(ぼら)の煮物、カワハギの一夜干しである。
そして、その間、女将は着かず離れずの会話で客の応対をする。
誠に居心地の良い空間であった。
今宵最後の客となったアルチョンの為、そっと閉店の看板に変えるところも憎い。
― 女将
― はい、何でしょう?
― 今年1年、大変世話になった
愚痴にも付き合ってもらって・・・
― あら、やだ
愚痴を言うほど
しゃべってはないでしょう
― ・・・・・・
今年もどうにか1年が終わろうとしている。
私の指揮の元、亡くなった者たちに
申し訳ないと思いつつ、生かされてるとも
思いつつ1年が終わろうとしている。
― ・・・・・
― どんな苦境な戦いの後でもここへ来ると、
暖かい笑顔と暖かい菜と酒で癒されるのだ
女将に癒された1年だった
ありがとう
そうして、酒をまた、ちびちびと飲むアルチョン
その時だった、がやがやと表がうるさくなったと思ったら、勢いよく戸が開いて、ピダムが顔を覗き込む。
― いたいたアルチョ~ン
ま~た、辛気臭い顔で1人で飲んで!!
皆で忘年会やるので、誘いに来てやった!
― ・・・・・は~
全く、静かな雰囲気が一気に台無しだ!
― 台無しとおっしゃる割には
うれしそうですね
― ああ、かけがえのない友達だからな!
女将、
来年もこの店は
私をあたたかく迎えてくれるだろうか?
― ええ
来年も疲れた心を癒すお手伝いを
させていただきます。
その優しさにまた来年も来てしまうのだろうと誓うアルチョンであった。
■□■□■ あとがき □■□■□
本年も押し詰まってまいりましたが
皆様にはいかがお過ごしでしょうか?
久しぶりの更新となりますが、先ほどのシンイと合わせまして、冬のお話をアップしてみました。
この後の大忘年会はアップできるかどうかわかりませんが、誰かに丸投げして逃げようかとも・・・・
善徳2次も1年お付き合いくださいましてありがとうございます。
まだ、終わるには、もう少し間がありますが、年の瀬、風邪などひかないように健康に留意してお過ごし下さい。