しばらく動きが無かったかのように見えた愛知県知事リコール不正署名事件だった。最近の出来事と言えば、2021年4月下旬にあった名古屋市長選で現職河村たかし(同運動首謀者)が当選したことぐらい。本人は署名の偽造への関与を否定し続けていたが、この選挙のときは不正署名事件の捜査が進行中であった。それから1か月ほど経った5月19日事態が動いた。第二幕の始まりである。

 

田中事務局長が署名偽造容疑で逮捕

署名活動団体の事務局長の田中孝博容疑者(59)=元日本維新の会の衆院愛知5区支部長=ら4人が地方自治法違反(署名偽造)容疑で愛知県警に逮捕された。

☞ 愛知知事リコール 署名偽造の疑いで田中孝博事務局長を逮捕

 

リコール署名偽造事件 事務局長ら逮捕

捜査が早かったのは有力な証拠があった?

容疑者の逮捕はリコール署名活動からおよそ半年後になるが、偽造が発覚したのが2020年11月、告発を受けた警察が捜査を始めてから3か月ほど。意外に逮捕が早かったという印象だ。

 

この逮捕の早さは、押収資料の中で偽造に関わる資料に容疑者の指紋があったからではないかと推測される。当初は「知らぬ存ぜぬ」とすっとぼけていても、偽造に関わる書類などに指紋がペタペタ付いていたら言い逃れできまい。田中孝博容疑者は偽造署名への関与を全面的に否定していたが、事実が明らかになるに従って主張が次第にトーンダウンしていった。田中容疑者は警察の取り調べに対して黙秘して法廷で争うつもりらしいが、どこまで強気を通せるか?また、黙秘は何かの事実を隠すために喋らない作戦と見られる。心証で不利になっても隠すべき事実とは何か?

リコール署名偽造事件 主張の変化

認否を明らかにしない警察の心理作戦?

愛知県警は「捜査に支障がある」として4人の罪状認否は明らかにしていない。同じ事件の容疑者4人それぞれの取り調べに影響があるのかもしれない。しかし、まだ逮捕していない容疑者がいるために「捜査に支障がある」とも受け取ることができる😏

 

田中孝博容疑者は取り調べで黙秘する意志を表明しているが、黒幕を守ろうとするために黙秘で抵抗することは組織犯罪でよく見られるパターンだ。こういう監督者気取りにはカツ丼を食わせるより、司法取引が効果的だと言われている。親分から指示されたことを自白するなら執行猶予を付けてやるよ…とかね (^-^;)

リコール署名偽造事件 警察認否明らかにせず

関与が疑われる首謀者同士で責任のなすりあい

任意団体の首謀者Tも監督責任がないという公的団体の首謀者Kも所詮くだらん劇場型だ。「全部ボクの責任」とか「正義を貫く」などお遊び感覚での軽〜い言葉。その軽さから、むしろ本当に犯行に関与しなかったのか疑問が残る印象となった。

 

首謀者Tは「田中孝博容疑者と首謀者Kがよく打ち合わせしていた」などと首謀者Kの方が深く関わっていたことを匂わしている。見苦しい責任のなすりあいだが、世間の注目を浴びることに快感を覚える劇場型の出し物としては面白くはあるのだが(笑)

リコール署名偽造事件 首謀者2名責任なすりつけ

維新はあっさりシッポ切り

維新の会についても同様。田中孝博容疑者は日本維新の会の衆院愛知5区支部長としてリコール活動を行っていたが、警察の捜査が始まった途端に維新は「最初から組織として関与していない」などと自民党ばりな組織防衛のシッポ切りに走った。リコール運動には、維新副代表の吉村洋文・大阪府知事が「応援してます」とエールを送っていたらしいが?こういう人物を抱え、支部長に据えた責任は全然ないらしい。そういう無責任さと共に「犯罪上等」な組織なんだろう。

リコール不正、維新の吉村氏「党として関与ない」 元支部長逮捕

 

容疑者との関わりもなすりあう首謀者たち

田中容疑者との関わりについても、首謀者Tと首謀者Kとで食い違いが鮮明だ。首謀者たちの責任のなすりあいがとても面白い(笑)

首謀者T「田中容疑者は首謀者Kが紹介した人材」

首謀者K「田中容疑者を直接紹介していない」

首謀者T「首謀者Kがリコールを持ちかけてきた」

首謀者K「首謀者Tがリコールをやる気になっていると田中容疑者から聞いた」

このような連中が「事件に関与していない」などと言うことを信じられますかね?

リコール署名偽造事件 首謀者疑問の行為

首謀者Tの秘書が不正に関与

最近発覚したことだが、首謀者Tの秘書が不正署名の名簿に指印を押していた事が発覚したらしい。首謀者T「わしゃ知らんかったわ」…。コイツも「秘書が、秘書が」って政治家気取りらしい。

 

リコールの署名用紙には“不正署名は地方自治法に触れる”と注意書きが書かれている。常識が通じるならハンコや拇印を不正に使用したら、犯罪になる可能性がある事は分かりそうなもの。小学生やないんだから。


そもそも、首謀者Tの秘書が不正署名の現場になぜいたのか?という疑問がある。秘書が首謀者Tに無断で不正作業に関わったと考えるのは不自然だろう。

リコール署名偽造事件 資金の流れ

田中容疑者の逮捕が事件の終わりではない

田中容疑者とその身内だけが不正署名に関わっていたのではあるまい。こういう組織犯罪では、金持ちの主犯格から金銭的な裏取引が持ちかけられ、容疑者が泥をかぶるケースはよくある事だ。まだ、事件の全容は解明されていない。

 

今後の捜査ポイントは、次のようになると見られている。

①指揮系統(首謀者Tと首謀者Kらが不正にどのように関わっていたのか)

②詳しい資金の流れ(アルバイトを雇った費用などの出所)

 

これから捜査が進展し、事件の第三幕が上がること期待しておこう。