第400話「スコッチ・イン・沖縄」(通算第610回目)

放映日:1980/3/28

 

 

ストーリー

五代は滝と対面し、手島安夫(森大河さん)ではないことを確認した。

五代は滝に拳銃を向け、所持品を調べようとしたが、一瞬の隙をつかれて拳銃を蹴り飛ばされ、拳銃を奪われた。

滝は五代に、他人の体を探るときにはもう少し慎重に捜査するように助言した。

滝は五代に、自分の身分と名前を名乗った。

野崎は山田署にて、伊東刑事課長(森幹太さん)と林刑事係長(多田幸男さん)と、2人の本庁幹部(相原巨典さん、大木史朗さん)に現金輸送車事件の概要を説明していた。

幹部は藤堂に、手島を取り逃したことへの責任を追及しようとしていた。

石塚は沖縄に到着した岩城を出迎え、捜査資料を受け取った。

手島は沖縄に住んでいたことがあり、密輸拳銃ルートも沖縄に関係があった。

林は藤堂と野崎に、滝が命令無視と報告の怠りで、手を焼いていることを伝え、激怒した。

林は野崎から、手島が沖縄に逃亡中であることが明確である以上、滝の行動を許すように説得されたが、偶然に勘が当たっただけで、命令違反に変わりがないと主張し、滝の沖縄出張を頑なに認めなかった。

藤堂は伊東に、滝の身柄をしばらく自分に預けるように頼んだ。

石塚と岩城は那覇東急ホテルに直行し、滝と五代と合流した。

五代は滝に対して、何でも単独で行動しなければ気が済まないという理由で怒鳴っていた。

石塚は滝に、藤堂が山田署に話を通したこと、七曲署がしばらく滝の身柄を預けることを告げた。

五代は滝と組むことを激しく嫌がっていた。

滝は石塚に、手島が以前、沖縄に密輸のためのアジトを構えていたこと、小さな密輸をしているうちは良かったが、仲間を含めて3人も殺害してしまったため、縁を切られたことを教えた。

石塚は滝の捜査を評価したが、捜査情報を沖縄県警や山田署に報告しなかったことを窘めた。

滝は自分の手で手島を逮捕するため、再び単独で捜査を開始した。

五代も手島を逮捕することに執念を燃やしていた。

手島は元々、密輸を専門にしていたが、滝に目を付けられ、締め付けが厳しくなったため、今回の凶行に及んでおり、共犯の佐山浩次や沼沢忠夫とは、場末のバーあたりで仲間に招き入れたと思われた。

佐山と沼沢は東京という大都会に夢を託して上京したが、手島に利用された挙句、殺害されたということだった。

野崎が一係室に戻り、常東銀行七曲支店行員の麻田信久(佐々木勝彦さん)が、香川の殺害と、あっさり輸送車から降りてしまったことを不注意と陰口を言われたことが影響で、故郷の大阪に帰郷したことを報告した。

午後0時40分、藤堂は石塚から、手島の密輸のアジトの件の電話連絡を受けた。

岩城は手島が密輸組織との縁が切れた以上、二度と現れないのではないかと思っていた。

石塚は手島が現金1億円を所持している以上、相手の組織があっさり縁を切らないのではないかと推理していた。

石塚と岩城は密輸組織のアジトに突入し、構成員を叩きのめし、逮捕した。

石塚と、沖縄県警の金城刑事(福山象三さん)は構成員の小熊(兼松隆さん)を取り調べた。

小熊は手島が密輸組織のアジトに現れたが、1億円を所持していなかったために追い返したこと、手島が、1億円がすぐに届くと発言していたことを供述した。

那覇港泊ふ頭船客待合所の受付係で、沼沢の妹の沼沢妙子(沢田和美さん)は勤務中、サングラスをかけた手島に監視されていた。

五代は妙子の通報で待合所に駆けつけ、妙子から手島らしき男がサングラスをかけていたという証言を聞いた。

滝も待合所に到着した。

妙子は男が手島であると断定した。

構成員の供述で、東京から手島に現金を送った共犯者がいることが確定したが、それらしい共犯者は浮かばなかった。

山村は、手島が現金を小荷物に偽装して自分で送り、自分で受け取ったのではないかと意見した。

しかし、局留めでは受け取りに行く時に危険が大きく、昔の密輸仲間に送れば、そのまま強奪されてしまう危険性があった。

藤堂と山村は、手島が妙子宅に現金を送り、妙子を見張り、現金が届いた瞬間に強奪して逃走し、場合によっては妙子を殺害するのではないかと推理した。

石塚と岩城は妙子宅に向かう途中、妙子宅を張り込む滝を発見した。

翌朝の午前8時10分、五代は妙子宅に踏み込もうとしたが、滝に制止され、裏手に回るように指示した。

滝は妙子が午前8時になっても、自宅の雨戸を開けず、物音を立てないことから、手島が妙子宅に侵入しているものと考え、五代に1分後に行動を開始するように命じた。

滝は妙子を呼び出し、妙子宅に突入し、手島を発見した。

手島は滝にクロスボウで攻撃したが、回避されたため、ナイフで妙子を人質に取った。

滝は手島に、3つ数えるうちに妙子を離すように宣言し、手島が妙子にナイフを突きつけているため、2つ目で拳銃を装備し、銃口を向けた。

五代は手島が本気で妙子を殺害しようとしていると思い、滝に飛びかかり、銃撃を阻止させた。

滝は五代を蹴り飛ばし、逃走した手島を、五代と二手に分かれて追跡したが、見失ってしまった。

妙子は石塚と岩城に、昨夜に帰宅した時には、既に手島が自宅に侵入していたことを打ち明けた。

五代は滝が、逆上した手島を平気で自信たっぷりに撃とうとしていたことに憤慨していた。

石塚は五代に、滝が三つまで数えたかを尋ね、五代から二つ目で飛びついたことを聞くと、滝が二つ数えたところで発砲するつもりだったことを教えた。

石塚は、大抵の人間が三つ数えると言われれば、三つ目にかかったところで行動を起こすが、二つ目に銃撃されれば何をするまでもなく撃退されると説明した。

五代は滝のやり方を騙し討ちと罵ったが、石塚に手島が3人もの人間を殺害した凶悪犯である以上、滝がそれを平気でやると説得した。

伊東と林は山田署に藤堂を呼び出し、七曲署に滝を預けたことを非難した。

藤堂は滝の行動について全ての責任を持つと言い放ち、山田署を去った。

山田署の主張は、滝の締め付けがなければ、手島が今回の事件を起こさなかったというものだった。

野崎は山田署で奇異の目にさらされていた滝に同情していた。

山村は、今回の滝の命令無視がかなり極端であり、滝が辞職を覚悟しているのではないかと思い、心配していた。

滝は背広のポケットに辞表を入れており、辞職を覚悟していた。

滝は砂浜で佇んでいたが、そこに五代が駆けつけた。

五代は滝に対し、二つ数えたところで銃撃するつもりだったのかと尋ね、そうだと答えられると、人の生命を何とも思っていないのかと激怒し、詰め寄った。

五代は滝が合法的に手島を射殺しようとしているのではないかと思っており、手島が憎いという心情を吐露した。

五代は一つ間違えれば、自分が沼沢になっていたかもしれないことから、手島をより一層憎んでいた。

五代の両親は五代兄妹の幼少期に、米軍のトラックに轢かれ、死亡していた。

五代は犯人が確定していたのに、日本の警察がなぜか手を出そうとしなかったことに憤慨していた。

五代はそれからしばらく、妹の早苗を放り出して不良になっていた。

滝は田口刑事が五代の人生を変えたことを知った後、捜査に戻った。

夜、手島は沖縄の海にて、停泊中の船に潜伏していたが、巡回中の警察官を発見し、襲撃した。

翌朝、警察官は救急車に搬送された。

手島が拳銃と船を強奪し、海に出たことが判明した。

手島の逃亡先の島は選択肢が多過ぎて、切りがなかった。

手島の潜伏先は、船の燃料の油の量から推定され、範囲が絞られた。

手島は船を降り、久米島に到着していた。

島の捜査で、殺害された沼沢が現金輸送車のルートを知らなかったことが判明した。

沼沢が警備会社を退職したのは3ヶ月前で、その10日後に銀行がそれまでのコースを変更していた。

沖縄の手島に現金を送る役目を受け持った人物が、コースを教えたものと推測された。

麻田は4日前に大阪の実家を出発し、沖縄行のフェリーに、秋田紀正という偽名を使って乗船していた。

五代と妙子は乗船名簿を調べ、麻田が那覇に到着したその足で久米島に渡っていることを突き止めた。

石塚と滝と岩城と五代は久米島行のフェリーに乗り、妙子と別れた。

麻田は久米島のイーフビーチホテル1213号室に宿泊し、酒を飲んでいた。

麻田はホテルの外に手島がいるのを発見し、外に出るように促されたが、拒否し、手島に紙きれを渡した。

麻田は手島と合流する地点を島尻岬に決めていた。

石塚達が久米島に到着し、捜査を開始した。

滝はイーフビーチホテル1213号室に突入したが、麻田が不在だった。

手島も麻田も島尻岬に向かっていた。

麻田は現金を所持していなかった。

滝は麻田が手島を殺害するのではないかと危惧した。

手島は島尻岬に到着し、麻田を待っていた。

五代は島尻岬に向かっていることを突き止め、急行した。

麻田が島尻岬に到着し、手島に声をかけた。

石塚と岩城も島尻岬付近に到着した。

麻田は手島に、現金を持っていないが、安全な場所に隠していることを話した。

麻田はわざとタバコの箱を落とし、手島がそれを拾っている隙に手島を崖から突き落とそうとしたが、滝と五代に発見され、阻止された。

手島は滝と五代に発砲し、麻田を見捨てて逃走した。

麻田は崖から飛び降り、自殺しようとしたが、石塚と岩城に身柄を取り押さえられた。

滝と五代は砂浜で手島を追跡した。

滝は手島に対し、三つ数えるうちに拳銃を捨てて、自分のほうに向くように迫った。

手島は拳銃を取り出したが、滝に撃ち落され、五代との格闘の末に逮捕された。

滝は五代に手島の逮捕を任せ、現場を立ち去った。

麻田の自供通りに、現金が廃坑の奥に埋めてあったのが発見された。

滝が七曲署に再び着任することが決定した。

 

 

メモ

*沖縄ロケーション編の後編。そして、今回からスコッチが七曲署捜査一係に再着任。番組初の8人体制となった。(しかし、「帰ってきたスコッチ刑事」と矛盾することに)

*OPのタイトルバックが全面的に変更。部分を変え、「スコッチよ 静かに眠れ」まで使用される。

*OPについては、以前は前半の紹介だった長さんが後半に移動となった。

*またこのOPからしばらく、スタッフロールの新人刑事のフラッシュカットは、2人が交互に走るという形で定着する。

*後編から、ロッキーが沖縄に到着。

*再着任したスコッチ。この時期が最も渋くて格好良い。

*前編の回想は、長さんが山田署の伊東と林と、本庁幹部に事件の概要説明という形で行われた。

*今回の森氏は嫌みな刑事役。

*福山氏の出番は、ゴリさんと一緒に、兼松氏演じる構成員を取り調べるシーンのみ。前編と合わせても出番が極端に少ない。

*スニーカーを「運動靴」と呼ぶスコッチ。

*スコッチの、『太陽』では唯一のロケーション作品。

*山田署でも命令無視と報告の怠り、単独行動で煙たがられていたスコッチ。

*スコッチの「3つ数える。その間に人質を離せ」が格好良すぎ。

*スニーカーの両親が米軍のトラックに轢かれて死亡していることが判明。

*久々にボンの名前が出たのは感慨深い。

*かなり久々の「青春のテーマ」。手島との格闘シーンでのバックに流れる「走れ!スニーカー」が最高にマッチング!

*スニーカーと手島が海に入って格闘している中、砂浜に座り込んでタバコを吸っているスコッチ。にこやかに微笑んでいるのが良い。加勢しないのはスニーカーに手島を逮捕させたいという親心か、それとも単に濡れたくないだけか(笑)。あと、タバコのポイ捨てはいけません。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

滝隆一:沖雅也

岩城創:木之元亮

五代潤:山下真司

 

 

松原直子:友直子

麻田信久:佐々木勝彦、手島安夫:森大河

沼沢妙子:沢田和美、林刑事係長:多田幸男、伊東刑事課長:森幹太

金城刑事:福山象三、本庁幹部:相原巨典、本庁幹部:大木史朗、小熊:兼松隆、丸山秀夫

協力:全日空、東急ホテルチェーン 那覇東急ホテル、久米島イーフビーチホテル

 

 

石塚誠:竜雷太

島公之:小野寺昭

野崎太郎:下川辰平

山村精一:露口茂

 

 

脚本:長野洋

監督:竹林進