第267話「追跡者」(通算第477回目)

放映日:1977/9/9

 

 

ストーリー

久門修(30歳)(橋爪功さん)と思われる死体は事故死か他殺かという決定的な証拠が無く、事件の背後にフィクサーの山野井詮造が関与した大規模な汚職事件があるとみられるため、シドニーでの捜査続行が認められた。

島が昨夜にオーストラリアを去った時点では、殺し屋の大庭実(永井譲滋さん)と久保寺進一の行方が不明な状態だった。

大庭と久保寺が汚職の口封じのために久門を暗殺しようとしたことを証明できれば、山野井を逮捕できた。

郷田景子(倉野章子さん)はシドニー市警の取調べが終了次第、日本に帰国すると思われた。

島は景子が久門のために自分の生活を全て捨てる決心をしていたため、日本にはもう戻らないのではないかと直感した。

野崎と岩城は電車に乗った際、景子に尾行されていることに気付いた。

野崎と岩城は景子に接触した。

景子は捜査員が久門を殺害した犯人を逮捕する瞬間を見たいという意思を伝えた。

大庭が景子を尾行していた。

石塚は久門が診療を受けた歯科医から、久門のカルテを借り、死体確認の手続きとして現地に送ろうとしていた。

久門は昭和22年(1947年)1月17日生まれだった。

藤堂は石塚に、久門のカルテを持ってシドニーに向かうように命令した。

景子は田口と岩城を尾行していたが、途中で姿を消した。

田口と岩城は久門が常連客だったパブに行く途中、景子がそのパブで、明るい表情で飲んでいる光景を目撃した。

石塚がシドニーに到着し、シドニー市警で野崎と合流した。

野崎は殺し屋の捜査を田口と岩城に任せ、久門の足取りを捜査していたが、収穫が無かった。

岩城は景子が途中で尾行を中止した理由と、パブでの笑顔を不審に思った。

田口と岩城は二手に別れた。

岩城は景子を張り込み、尾行していた。

景子は夜の路上に佇んでいた。

久門が口笛と共に、景子の前に姿を現した。

久門は大庭を発見し、逃走した。

岩城は久門を見失ってしまったが、途中で大庭を発見した田口と合流した。

景子も姿を消していた。

田口と岩城は野崎と石塚と合流し、ホテルで捜査会議をした。

焼死体と久門の歯形が一致しないため、焼死体の身元が久門でないこと、久門が生存し、街のどこかに潜伏していることが断定された。

焼死体の身元は久保寺であり、運転を誤って崖下に転落死し、久門が自分の衣服を久保寺の遺体に着せ、火を点けていた。

岩城は景子が死体を見たときから、死体の身元が久門ではないことを察知し、久門の逮捕を恐れ、捜査員を尾行したと推理した。

野崎が帰国した直後、汚職事件の収賄側の証人である、新世界商事の課長補佐が殺害され、川の中に投げ込まれるという事件が発生した。

次に山野井達に狙われる可能性があるのは、新世界商事経理部長の庄田聡一(加藤和夫さん)だった。

本庁幹部(西田昭市さん)は、現段階で庄田を逮捕しないようにという命令を下した。

その理由は、庄田が全て自分の一存で犯行に及んだと自白するだけであること、庄田が山野井を頂点とする組織の恐ろしさと報復の恐ろしさを熟知しているためだった。

藤堂は幹部から、庄田を警護するように命令された。

田口と岩城は、パブで久門からの連絡を待つ景子を張り込んでいた。

山村と島はそれぞれ、自宅から出勤する庄田を警護していた。

殺し屋が庄田を轢き殺そうとしたが、山村に阻止され、2丁目の先を逃走した。

野崎と島は逃走する殺し屋を追跡した。

殺し屋は自動車を降り、電話ボックスから黒幕に庄田の殺害の失敗を連絡したが、直後に野崎と島に逮捕された。

庄田は山村に取調べられ、恐怖に怯えていた。

山村は庄田に、新世界商事や黒姫興業の関係者、山野井を庇い立てする必要が無くなったため、このまま殺し屋にずっと怯えて生きていくのかと忠告した。

野崎は殺し屋の電話連絡先が、山野井一派の暴力担当、黒姫興業の千田社長であることを突き止め、殺し屋に何を報告したのかを詰問した。

庄田が、久門に汚職の全てを背負わせるように指示したのが千田であることを自白した。

殺し屋は自分に庄田の殺害を指示したのが千田であると自供した。

新世界商事が摘発され、千田が逮捕され、山野井(山本武さん)が参考人として召喚された。

藤堂は久門の証言が山野井の有罪の決定的証拠になるため、無傷で久門と大庭を逮捕するように命令した。

石塚は田口に岩城と合流して景子を警護するように指示し、自身は大庭を捜索することにした。

景子はブティックでドレスを購入するふりをして、裏口から逃走し、田口と岩城をまいた。

田口と岩城はパブのマスターから、景子の電話の相手を聞き出そうとしたが、2人を殺し屋と思っているマスターに断られた。

パブのマスターは田口と岩城に説得され、久門がナンバー「HZL711」の黄色いレンタカーを借り、景子とハネムーンコースに出掛けたことを話した。

田口と岩城は2人が行くと思われるパームビーチに急行した。

久門と景子がパームビーチに到着した。

石塚はホテルのクローク係から、パームビーチのことを聞き出した。

ホテルのロビーに潜伏していた大庭は石塚の話を盗み聞きしていた。

石塚と岩城は久門のレンタカーを発見した後、ビーチを歩く久門と景子を発見した。

久門は明日、フィジーに飛び立つことを計画していた。

久門は港の荷揚げや大工仕事で金を稼ぎ、景子と一緒にフィジーに滞在することを夢見ていた。

岩城は久門と景子の仲睦まじい様子を見ていた。

石塚はパームビーチに直行する途中、大庭の尾行に気付いた。

大庭は石塚の自動車に向けて拳銃を発射し、タイヤを撃ち抜き、石塚の追跡を妨害した。

岩城は久門と景子の仲睦まじい様子を見ているうちに、大庭だけを逮捕し、久門を見逃してもいいように思うようになっていた。

岩城は最初、景子を身勝手な女性と考えていたが、考えが変わっていた。

大庭がビーチに到着し、久門と景子、田口と岩城を発見した。

田口はオーストラリアでは日本の刑事に捜査権がないことから、久門と景子を見逃すことに同意した。

田口と岩城は久門を暗殺しようとする大庭を発見し、追跡した。

久門は景子と別れ、レンタカーで逃走した。

大庭は拳銃を乱射し、自動車に乗って逃走した。

石塚は現地住民の軽トラックにヒッチハイクしてもらい、田口と岩城と合流し、大庭を追跡した。

捜査員は羊の群れに進路を塞がれた。

景子は石塚から久門の逃走場所を尋問され、久門も自分も、追跡されても行ける場所まで逃走すると決意したことを伝えた。

石塚は逃げても死んでしまっては無意味であり、逃げた場所の先にあるのは破滅であること、2人が幸福になる唯一の手段が自首であると説得した。

景子は久門との合流場所がスプリングフィールドであることを自供した。

大庭が急速に久門に接近し、拳銃を発砲した。

久門は追い詰められ、大庭に射殺されそうになった。

大庭は捜査員の自動車のタイヤに発砲し、捜査員に乱射した。

大庭は石塚に殴り倒され、逮捕された。

田口と岩城はオーストラリアの荒野を逃走する久門を追跡し、何とか逮捕した。

久門は死体損壊容疑の取調べで、オーストラリアに取り残されることとなった。

石塚と田口と岩城は景子を連れ、日本に帰国した。

 

 

メモ

*オーストラリアロケーション編の後編。

*今回の回想のナレーションはボス。本庁にて、幹部に事件の経緯を説明しているという設定。

*殿下は前編の終了時点で日本に帰国した設定。今回、オーストラリアを捜査するのは、長さんとゴリさんとボンとロッキー。しかし、長さんは中盤で日本に帰国。

*英語が流暢なゴリさん。

*オーストラリアに長く滞在するうちに、日本食を懐かしむボンとロッキー。

*久門と景子の仲睦まじい様子が微笑ましい。ロッキーが逮捕したくなくなるのも分かる。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

田口良:宮内淳

岩城創:木之元亮

野崎太郎:下川辰平

 

 

矢島明子:木村理恵

郷田景子:倉野章子

久門修:橋爪功

大庭実:永井譲滋、本庁幹部:西田昭市、庄田聡一:加藤和夫

ジャクソン刑事:デビット・フリーマン、森邑翔、山野井詮造:山本武

ノンクレジット 黒姫興業構成員:大宮幸悦

 

 

石塚誠:竜雷太

島公之:小野寺昭

山村精一:露口茂

協力:アトラス・オーバーシーズ・サービス

 

 

脚本:長野洋、小川英

監督:竹林進