第560話「愛される警察」(通算第439回目)

放映日:1983/6/24

 

 

ストーリー

非番の竹本は街を歩いている途中、巡回中の春日部と遭遇した。

春日部と竹本は逃走中の強盗犯(星野晃さん)を発見し、追跡した。

強盗犯は荷物を積み下ろし中のワゴン車を強奪しようとして、運転手(増岡弘さん)をナイフで脅迫したが、脅迫に狼狽しない運転手を含む一般市民により取り押さえられた。

春日部は強盗犯を逮捕した。

竹本は一般市民の勇敢さに感服していた。

井川と西條は強盗犯の取調べを終了させた。

強盗犯はサラリーマン金融の借金返済に困窮し、逆に襲撃していた。

竹本は非番に戻った。

藤堂は逮捕に協力した一般市民の表彰の手続きを取ることにした。

竹本は街を歩いていた際、チンピラに絡まれていた、松村はるみ(白石まるみさん)という若い女性を助けた。

竹本は松村と別れた。

中山功治(片桐竜次さん)は矢追2丁目派出所の巡査(村上幹夫さん)に目を付けていた。

竹本は映画館を訪れたが、時間が中途半端だったことに困っていた際、松村と再会した。

中山は巡査の頭部を殴打し、拳銃を強奪した。

竹本と松村はスナック「もみの木」に入り、会話していた。

松村は専門学校生だった。

竹本は松村に、自分の身分が公務員であることを話し、お互いに名前を名乗った。

客の老人(三谷昇さん)はマスター(丸岡奨詞さん)に、コーヒーの不味さを伝えていた。

竹本はサイレンが聞こえたことに反応した。

巡査は中山の特徴が25歳ぐらい、面長で眼鏡をかけていたことを言い残し、救急車に搬送された。

中山は巡査に道を聞くふりをして、背後から殴りかかっていた。

西條は中山が拳銃を強奪した目的を疑問に思っていた。

井川は藤堂に、中山の似顔絵を提出した。

巡査は責任感旺盛で、医師の忠告を無視して証言していた。

中山は10日前、盛り場で喧嘩した際に傷害容疑で逮捕されたが、相手が重傷を負っていなかったため、すぐに釈放されていた。

西條と春日部は、中山の住所の、矢追2丁目のあずま荘に急行した。

老人はサイレンの音について、耳障りという感想を抱いていた。

竹本は定期連絡をしようとしたが、客のカップルの女(野見山夏子さん)に電話を取られてしまった。

西條と春日部は中山宅に突入したが、中山が不在だった。

中山宅からは、中山と赤沢佐代子(21歳)という女性と一緒に写っている写真が発見されたが、どれも赤沢の写真が傷つけられていた。

藤堂は西條に、赤沢の身元を捜索するように命令した。

カップルの女が長電話している隙に、中山が「もみの木」に来店した。

令子は西條と春日部と合流した。

西條は赤沢が以前、頻繁にあずま荘に遊びに来ていたが、中山をふったことを突き止めた。

中山は赤沢を殺害するために拳銃を強奪したものと推測された。

令子は中山の交友関係を捜査することを提案した。

西條は春日部に、あずま荘に待機し、中山の帰りを待ち構えるように指示した。

カップルの男の光雄(津田和彦さん)は女の電話の10円玉が切れそうになったため、老人から10円を借りた。

サラリーマン(森川正太さん)はあまりにも下らない内容で長電話し、公衆電話を占拠するカップルに大激怒した。

サラリーマンは一旦老人に制止されたが、光雄に掴みかかった。

竹本はサラリーマンと光雄を仲裁させようとしたが、警察官のような態度をとるなと怒られてしまった。

サラリーマンは店を去ろうとする光雄に掴みかかり、突き飛ばされ、中山に衝突した。

中山はサラリーマンと衝突した際、隠していた拳銃を落としてしまった。

サラリーマンは拳銃を拾い上げ、客に銃口を突きつけた。

西條と令子の捜査により、赤沢の身元が判明した。

赤沢は中山とは1年交際していたが、すっかり仲が冷え切っていた。

中山は赤沢に未練があり、2日前に押しかけ、一騒動となっていた。

赤沢は矢追新地のバー「ビッグベン」に勤務していた。

中山は公衆電話が鳴ったため、マスターに電話を取らせたが、ただの間違い電話だった。

山村は赤沢が5日前に「ビッグベン」を辞めたことを掴んだが、「ビッグベン」関係者は赤沢のその後の消息を知らなかった。

中山は赤沢が今日から「もみの木」に勤務することを突き止めていた。

中山は自分が2日間留置されている間に、他の男と交際して自分を捨てた赤沢に復讐しようとしており、マスターに赤沢が何時に来店するかを尋ねた。

光雄女は無関係を理由に、「もみの木」から出て行こうとしたが、ドアを開けたら射殺すると脅迫された。

中山は赤沢が来店するまで、客を人質に籠城するつもりだった。

サラリーマンは老人と光雄から糾弾され、中山に午後3時までに就職の面接に行く必要があることを訴え、見逃すように懇願した。

サラリーマンは必死に、先月まで勤務していた会社が倒産していること、来月に子供が生まれることを伝え、絶対に警察に通報しないと約束したが、中山に蹴り飛ばされた。

サラリーマンは竹本が中山と揉みあっている隙に、「もみの木」を脱出することに成功したが、竹本が左腕に被弾してしまった。

向かいの料理店の主人が銃声を聞き、逃走するサラリーマンを目撃した。

中山は逃走しようとした光雄を殴り倒し、扉を閉めた。

マスターは扉に「本日休業」の札を付け、ブラインドを閉めた。

竹本は中山に犯行を諦めるように説得したが、痛めつけられてしまい、他の人質に見捨てられてしまった。

サラリーマンは事件を通報せず、就職の面接を優先し、会社に入って行った。

客はサラリーマンが事件を通報しなかったことを確信した。

竹本は春日部の発言した、都会の人情の薄さを痛感していた。

松村は竹本の傷を止血するため、マスターから酒を貰い、竹本を治療した。

松村は看護婦であり、学生を羨ましく思い、学生と嘘を吐いていた。

松村は夜勤明けのとき、一人で街を歩いていた。

老人は心臓病を口実に、中山に医師を呼び出すか、通報しないことを理由に「もみの木」から脱出させるように懇願したが、中山に断られた。

令子は赤沢が矢追新地のスナックに勤務することになっていることを突き止めたが、店の名前までは分からなかった。

井川は矢追新地を調査していた。

マスターは中山から冷たい物を作るように強要され、裏口から脱出しようとしたが、中山に拳銃を突きつけられ、失敗した。

井川は向かいの料理店主人から、30分前に「もみの木」から銃声が聞こえ、サラリーマンが飛び出してきたことを聞き出した。

藤堂は井川の連絡を聞き、店内で中山が待伏せしていることを連絡し、応援を要請した。

料理店の主人夫妻が井川の話を聞き、銃撃戦に巻き込まれることを恐れ、近所に「もみの木」の事件を知らせてしまった。

中山は窓から、近所の住人が一斉にシャッターを閉めるのを目撃し、警察に感知されたと確信した。

春日部は「もみの木」に急行しようとしたが、命令に従い、令子と共に赤沢の捜索を続行した。

山村と西條が井川と合流した。

「もみの木」の裏の通用口は中から施錠されていた。

山村は「もみの木」に電話をかけ、中山との対話を試みた。

山村は中山に、赤沢を差し出すという要求には従えないと断言した。

中山は山村に、1時間以内に赤沢を連れて行かないと、人質を1人ずつ射殺すると脅迫した。

竹本は中山に、老人の解放を頼み込んだが、中山に身元を疑われた。

中山は光雄に音楽をかけるように強要させ、松村とカップルの女に踊りを強要させた。

マスターは中山が松村に関わっている隙に逃走した。

竹本は中山に組み付き、拳銃を放り投げた。

山村と西條は、竹本が中山との揉み合いの最中にブラインドを上げたことで、竹本が人質に取られていることを知った。

竹本が中山と揉みあっている隙に、最初に光雄が脱出し、次にカップルの女、老人の順番に脱出した。

松村は西條の「ラガー!」の声で、竹本が刑事であることを知ってしまった。

竹本は何としても拳銃を拾おうとしたが、松村に拳銃を蹴り飛ばされた。

中山は拳銃を拾い上げ、松村を人質に取った。

松村は竹本から妨害した理由を質問され、警察官が嫌いだからと答えた。

老人は救急車に搬送された際、中山を射殺するように叫んだ。

中山は竹本に、松村やサラリーマンなど、警察に協力する人間がいないことを挑発した。

赤沢は令子と春日部の説得を無視し、「もみの木」に行くことを拒否した。

藤堂は中山に電話をかけ、竹本と電話を代わるように要求した。

竹本は藤堂から、強行突入の手段しかないことを告げられ、松村の生命を守り切れるかを尋ねられ、守り切ると約束した。

山村と西條は「もみの木」の入口に接近し、井川は裏口に回った。

藤堂は中山に、間もなく警官隊が突入し、抵抗すれば射殺されると告げ、残された道が射殺されるか観念するかの2択しかないことを突きつけた。

藤堂は竹本が松村の生命を守ると信じ切った。

中山は松村を射殺しようとしたが、竹本が松村の盾になった。

西條は発砲を合図に、入口の窓を割り、井川も裏口の扉を破ろうとしていた。

竹本は中山に、拳銃の残りの弾が1発しかないことを伝え、自分を撃つように迫った。

中山は西條に拳銃を撃ち落とされ、竹本に殴り倒された後、井川に逮捕された。

山村は藤堂に、事件解決と、竹本と松村の無事を連絡した。

松村はかつて暴漢に襲われたことがあり、その犯人が逮捕されず、警察に徹底的にしつこく事情聴取されたことがあり、警察嫌いとなっていた。

松村は竹本の姿を見て考えを変えており、竹本に感謝していた。

 

 

メモ

*「危険な約束」や「長さんの長い午後」の系譜と同じく、凶悪犯が喫茶店を籠城する事件を扱った話。

*サブタイトルが出るのがかなり遅い。(強盗犯の逮捕シーンの後)

*久々に、ボギーが前赴任先の大神島のことを語る。ボギー曰く、「自転車で巡回中に島民から声をかけられ、会話をしていた」という。

*都会について、「人情が無く、他人が何をしようと関係がない」と批判するボギーと、「都会にも心の温かい人がいる」という意見のラガー。しかし、ラガーは今回の事件で都会の人間の非協力的ぶりを認識させられることになる…

*片桐氏はいつもと違う役柄。

*片桐氏と森川氏はPART2の「探偵物語」でも共演している組み合わせ。

*強盗犯にナイフを突きつけられても狼狽しないどころか、「てめぇなんかに刺されてたまるか!」と威勢の良い啖呵を切るワゴン車の運転手(増岡弘氏)。勇気ありすぎ!

*一般市民の勇敢さに感服するラガーと、「自分の車が強奪されそうになったから」、「相手があまり強そうでなかった」と自分の意見を変えようとしないボギー。マミーに窘められ、渋々「都会にも警察に協力的な一般市民が少しいる」と認める。

*またもや口論となるボギーとマミー。

*中山が籠城事件を起こすきっかけとなった揉め事。サラリーマンが暴力を振ったのも悪いが、金を払っているとはいえ、下らない内容で長電話しすぎのバカップルも悪い。

*松村が、ラガーが刑事であることを知った瞬間、拳銃を蹴り飛ばすシーンがかなりショッキング。前まではラガーにかなり協力的だっただけに猶更。

*赤沢はかなり身勝手な女。中山も相手が悪すぎた。

*結果的に松村の心までも救済することに成功したラガー。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

春日部一:世良公則

竹本淳二:渡辺徹

岩城令子:長谷直美

 

 

松村はるみ:白石まるみ

中山功治:片桐竜次

「もみの木」の客(サラリーマン):森川正太、光雄:津田和彦

「もみの木」の客(老人):三谷昇、「もみの木」の客(カップルの女):野見山夏子、ワゴン車の運転手:増岡弘、矢追2丁目派出所の巡査:村上幹夫

「もみの木」マスター:丸岡奨詞、瓜生千春、原隆志、鞭馬文典、千葉茂

ノンクレジット 強盗犯:星野晃

 

 

西條昭:神田正輝

井川利三:地井武男

山村精一:露口茂

 

 

脚本:長野洋

監督:木下亮