第547話「ドックの恋愛術」(通算第426回目)

放映日:1983/3/11

 

 

ストーリー

資材置き場にて、望月昌弘(31歳)という男が何ヶ所も刺されて殺害される事件が発生した。

死亡推定時刻は昨夜の午後11時前後だった。

望月は矢追信用金庫の職員で、資材置き場とは逆の方向の神岡町に住んでいた。

望月は財布を強奪されておらず、他に昨日の日付の映画の半券2枚と、ボトルカードを所持していた。

令子はシャツとネクタイが新品であり、オーデコロンが匂うことから、望月が会社帰りにデートをしたのではないかと判断した。

井川は西條に望月の足取りを、春日部と令子と竹本に目撃者の捜索を指示した。

望月は勤務先の評判が悪くなかったが、半年前に元同僚の松本明美との婚約を解消していた。

松本は退職していた。

望月は女性と2人でパブに現れたのは明確だったが、その相手の身元が不明だった。

松本が婚約解消の恨みを晴らすために望月を呼び出し、デートの帰りに殺害したという推理が出来たが、令子に女性では男をナイフで滅多刺しにできないと反論された。

井川は望月のアドレス帳に記載されていた、菊地容子(24歳)という女性に注目した。

菊地は犯行現場の近くの西町に住んでいた。

藤堂は捜査員に、松本と菊地の調査を命じた。

西條と竹本は松本(吉岡ひとみさん)と会い、望月が殺害されたことを告げられた。

松本は犯行時刻に、現在勤務している会社の近所のスナック「森」にいたこと、望月とは初めから遊びの関係だったことを話した。

望月のデートの相手の菊地(寺尾いづみさん)は国際製薬の電話交換手だった。

菊地は昨夜に映画を観賞し、少し飲酒した後、午後11時頃に望月にアパートまで送迎されたことを伝えた。

菊地は犯人に心当たりが無く、望月のことを良く知らず、昨夜に初めて望月と会っていた。

菊地はつい最近、新宿区中町の結婚紹介所「パートナーセンター」で望月と知り合っていた。

菊地は何かを隠した素振りを見せ、井川と令子のもとを去った。

井川と令子は菊地の身辺を調査することとなった。

竹本は望月が結婚紹介所に入会した理由が分からなかった。

山村と春日部はパートナーセンターを訪れ、谷所長(灰地順さん)と会っていた。

3ヶ月前、菊地に紹介した中山武彦(大竹修造さん)という男が通り魔に右腕を刺される事件が発生した。

その通り魔はまだ逮捕されていなかった。

両方とも交際を希望したのは、男性の方からだった。

パートナーセンターのシステムはまず、会員登録と同時に、自己紹介のカードとビデオテープを作成するものだった。

会員は自由にカードとビデオテープを見ることができたが、住所と電話番号が伏せられており、センター側が交際を希望された方に紹介するという仕組みだった。

菊地は茨城県水戸市出身、両親が洋品店を経営しており、友愛短期大学を卒業していた。

中山は菊地との交際を開始した頃に通り魔に襲撃されていた。

竹本は菊地が犯人との見当がついているのではないかと考えていた。

西條は菊地が可愛く、周辺の男が放置しなさそうなのに、結婚紹介所に入会していることが引っかかっていた。

井川は茨城県警に問い合わせ、6年前(1977年頃)にも菊地の周辺で殺人事件が発生していることを突き止めた。

菊地が高校3年生だった頃、菊地のクラスメイトの井上という生徒が放課後、体育館の裏で刺殺されているのが発見された。

事件は同じクラスメイトの田崎という生徒に容疑がかけられたが、田崎は数日後、校舎から飛び降り自殺をしていた。

井上は菊地と一番仲が良く、田崎も菊地に好意を持っていた。

菊地はショックで学校を1週間休み、一度退学届を提出したことまであり、男性との交際に恐怖を感じていた。

山村は以前の事件を捜査することにして、捜査員にしばらく交代で菊地の身辺を見張るように命令した。

春日部は竹本に、西條が今朝、休暇届を提出していたことを話した。

西條は先月まで大学病院に勤務していたという名目で、パートナーセンターに入会していた。

山村は中山と対面していた。

中山は暗闇で突然襲撃されたため、通り魔の顔を目撃していないことを伝えた。

中山は刺される3日前、謎の男から、菊地に接近するなという脅迫電話が入っていた。

中山は警察に脅迫電話のことを話したが、その男が犯人という証拠が無かったため、あまり重視されなかった。

春日部と竹本は国際製薬を張り込んでいたが、菊地が勤務を終えたため、菊地を尾行した。

所長は山村に、昨日入会したばかりの男が菊地と交際したがっていることを伝えた。

山村は西條がパートナーセンターに入会したことを知った。

菊地はレストランに入り、西條と会った。

菊地は事件の影響でパートナーセンターの会員を辞め、西條との交際を断ろうとしていた。

西條は菊地のビデオを見て一目ぼれしたと述べた。

菊地はビデオで、テニスとスキーが趣味であると発言していたが、実際はやってみたいと思っただけだった。

菊地は事件の犯人が分からなかったが、自分に災いを招いているのではないかと思い込んでいたが、西條に励まされた。

西條は菊地に刑事の身分を隠していた。

令子は西條の優しさが裏目に出ないかを心配していた。

藤堂は潜入捜査が禁じられていたため、西條の行動を捜査として扱わないことにしていた。

菊地は定時に会社に入り、落ち着いていた。

西條は日曜日、菊地にテニスを教える約束をしていた。

春日部と竹本は、犯人の標的とされる可能性が高い西條の警護に就くこととなった。

西條はテニスコートにて、菊地にテニスの指導をしていた。

菊地は高校時代、テニス部であった。

星野達雄(28歳)(笹入舟作さん)という男が西條と菊地を監視していた。

星野は春日部と竹本が接近していることを知り、逃走した。

夜、西條はレストランにて、菊地に結婚紹介所の会員になった理由を質問していた。

菊地は交際するなら身元のはっきりした男の方が良いからであると答えた。

西條は菊地に、医師なのになぜもてないのかを疑問に思われ、患者や看護婦と噂になると周りがうるさいからであること、交際するなら別の世界の女性がいいからということを誤魔化した。

菊地はただ忙しいだけの毎日に悲観していたが、西條に激励された。

西條は菊地を送迎した際、午前0時を過ぎてしまったことを詫びたが、菊地は全然気にしていなかった。

竹本は西條宅に入り、犯人と思われる星野を逃がしてしまったことを報告し、警戒を促した。

西條は菊地が自分を信じ切っていること、菊地に秘密が無かった場合には、菊地を騙して利用していることになることを危惧していた。

令子は菊地を尾行していたが、依然として誰とも接触していなかった。

竹本は藤堂に、西條が狙われることを阻止するため、菊地を参考人として取り調べることを申請したが、藤堂に拒否された。

山村は藤堂に、星野の履歴書を見せた。

星野は昭和29年(1954年)7月3日生まれ、愛知県出身であり、元パートナーセンター職員だったが、会員の秘密をネタに強請をしたことが露見し、免職となっていた。

午後1時55分頃、西條に、これ以上菊地に接近するなという脅迫電話が入った。

謎の男は国際製薬で勤務中の菊地に、中山と望月を刺したと名乗り、100万円を出さないと、次の標的を西條にすると脅迫した。

星野はかなり前、何も言わずにアパートを引き払っていた。

西條は藤堂と山村と井川に脅迫電話のことを報告し、次に菊地と会うときが犯人逮捕のチャンスと考えていた。

菊地は犯人からの要求に従い、かなり動揺した態度で、休憩時間に銀行から100万円を引き出していた。

西條は菊地から直接聞き出そうとしたが、藤堂に拳銃の携帯を義務付けられた。

西條は菊地を食事に誘ったが、断られて尾行した。

令子と春日部は西條に単独行動が危険であると注意を喚起したが、襲撃されるまで手を出さないように要求された。

西條は菊地に接近しようとした星野と格闘になった。

星野はナイフを振り回したが、叩き落とされ、取り押さえられた。

星野は動機が金であると主張し、望月を殺害したことを否認した。

西條は菊地に110番通報させた。

星野は望月の殺害事件、中山の傷害事件両方に完全なアリバイがあり、犯人ではなかった。

星野は中山が刺された際、まだパートナーセンターに勤務しており、脅迫電話のことを聞いていた。

星野は望月が殺害されたことを知ってから強請を計画しており、西條には電話していなかった。

西條に脅迫電話をかけたのは真犯人だった。

山村は春日部と竹本に、菊地宅のサリーコーポにいる西條の警護を命じた。

菊地は同級生の井上と田崎とは、特別な関係ではなく、誘われて映画を見に行き、テニスをしただけだった。

菊地は周辺で怪事件が発生することが分からなかった。

西條は菊地に、事件が菊池のせいではないと激励し、警察の事情聴取に付き合うと約束し、菊地宅を去ろうとしていた。

西條はサリーコーポを出たところで、真犯人の高橋浩(25歳)(大木隆介さん)に刺されてしまった。

菊地は高橋に人質に取られてしまった。

高橋は菊地の高校の1年先輩で、菊地のために殺人を犯していた。

菊地は高橋のことを覚えていなかった。

西條は高橋のナイフを撃ち落としたが、菊地に刑事であることを知られてしまった。

春日部と竹本が駆けつけ、高橋を逮捕した。

高橋はガソリンスタンド店員で、井上と田崎も殺害していた。

高橋は菊地のことが好きでたまらなかったが、声をかけることもできなかった。

高橋は嫉妬が激しく、菊地と仲が良かった井上を殺害し、田崎に容疑がかかったのを幸いし、自殺に偽装して田崎を殺害していた。

高橋は高校の頃から目立たない存在だったらしく、菊地に存在を知られていなかったが、菊地が自分の殺人を知って庇っていると思い込んでいた。

高橋は菊地が許す日まで、菊地に接近する男を全て追い払おうと決意していた。

菊地は西條を許さなかった。

 

 

メモ

*非番、喫茶店に座っているドック。トランプ占いをするラガー。

*ドックが引いたカードは「ハートの7」。「強烈な女難」を意味するらしい。ラストの伏線?

*白石医師の名前が登場。ドックは多忙でデートどころではないらしい。

*「世の中に絶対なんてものはない」→「世の中に絶対なんてものは絶対ない」byドック

*ラガーは「自分で自由に恋人を探す」タイプ。ドックは「ロマンチックな恋愛が古く、現実的な恋愛術を身につけなければいけない時代」という考え方。

*ボギーに「美人に弱い」と言われるドック。ボギーは「女は完全に信用できない」、「特に美人には悪女が多い」という考え方。

*ドックは昭和27年(1952年)2月14日生まれ、身長178㎝、体重67㎏。テニスとスキーには自信があるとのこと。

*尾行には不向きかもしれないラガー。

*ドックと菊地のテニスの上手さを見て、「ラグビーじゃなくてテニスをしとけば良かった」と呟くラガー。「男は野球」という硬派な意見のボギー。

*菊地に、「Some Day My Prince Will Come」のことを紹介するドック。

*真犯人の高橋は現在でいうストーカー。山さんは「1人の女性を一途に恋していたと思うと何となく哀れ」というコメントを残す。

*菊池はドックを許さず、殺人者の高橋の方が自分の気持ちに正直だったと言い捨てるという、苦い結末となった。

*ラスト、祝杯をあげる捜査員。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

春日部一:世良公則

竹本淳二:渡辺徹

岩城令子:長谷直美

 

 

菊地容子:寺尾いづみ

星野達雄:笹入舟作、高橋浩:大木隆介

谷所長:灰地順、松本明美:吉岡ひとみ

中山武彦:大竹修造、アパート大家:高山千草、長尾伸夫

 

 

西條昭:神田正輝

井川利三:地井武男

山村精一:露口茂

 

 

脚本:小川英、大川俊道

監督:山本迪夫