第85話「おやじに負けるな」

放映日:1974/3/1

 

 

ストーリー

柴田は久美に、庶務課に行ってトイレットペーパーを持っていくように頼んだ。

久美によると、庶務課もトイレットペーパーを請求しても出すことがほとんどなかった。

山村から、アジアルートの覚醒剤が大量に出回っているという情報が入った。

一係室に、坂下町の光スーパーの倉庫が盗難に逢い、トイレットペーパーと砂糖が盗まれるという通報が入り、柴田が出動した。

関係者はトイレットペーパーと砂糖を車に乗せて強奪したと推測した。

倉庫の鍵にはこじ開けた跡が無く、関係者が確認したところ鍵がかかっている状態だった。

光スーパーは深夜まで営業しており、倉庫の前が来客用の駐車場になっていたため、少々物音がしても気づかれない状態であった。

柴田は破れた段ボール箱を発見した。

段ボールの中には、開店3周年記念の4月に、サービスと宣伝を兼ねて作ったマッチが入っていた。

柴田は買い占めた品物を隠すための狂言ではないかと推測した。

藤堂は「鍵を開けて泥棒に入っても、土足で上がらず、散らかしたりせず、その後に元通りにするために、入られた方も何を盗まれたか分からない」という手口から、「留守番小僧」と呼ばれた泥棒の名人の山吉こと山本吉三を思い出した。

山本は柴田の父親に何度か逮捕されていた。

柴田は山本(有島一郎さん)の家を訪問した。

柴田は自分の名前と身分を明かした。

山本は柴田のことを知っていたが、柴田の父親が逝去してから柴田家と会っていなかった。

柴田は光スーパーの強盗事件のことについて尋ねたが、山本は自宅にいたと述べた。

山本は柴田の父親に逮捕された18年前(1956年頃)を最後に、足を洗っていた。

山本は柴田の自宅の捜索を承諾した。

山本のトイレには新聞紙が置いてあった。

山本はお茶と偽って柴田に酒を飲ませた。

山本は足を洗う前、柴田の父親と飲んでいる際に喋ったことを咎められ、自分の犯行を白状させられたことがあった。

藤堂は柴田が酒を飲んだことを見抜き、叱咤した。

山村と野崎は、柴田の父親が被疑者宅で水を勧められても一切口をつけなかったことを思い出した。

石塚と島は三角町のドヤ街にて、覚醒剤の売人を2名逮捕していた。

山本は柴田の父親の命日に、柴田の父親の墓参りをしていた。

山本は柴田とたき(菅井きんさん)が遅れて墓参りに来たため、慌てて隠れた。

たきは厨房の湯沸かし器の火を付けっぱなしで来てしまったことを思い出し、すぐに帰宅したが、湯沸かし器の火は消えていた。

たきは火を消した覚えが無かった。

柴田は去年にたきが福引で当選したスコッチを戸棚から出そうとしたが、スコッチが無くなっていた。

柴田は山本に尋問したが、山本は鍵を2つつけ、隣人に声をかけて火に気を付けるよう注意を喚起した。

山本は戸棚から柴田のスコッチを取り出した。

柴田は山本を疑ったが、証拠が無いために取り返せなかった。

山本は柴田を挑発し、柴田とたきの指紋を消してしまった。

新聞に、養老院に光スーパーの盗品が寄付されたという記事が一面を飾った。

石塚が逮捕した覚醒剤の売人が、覚醒剤の輸入元が中光貿易らしいことを自白した。

中光貿易に、箱を持った謎の外国人が入った。

山本は一係室に柴田がいると思って電話をかけたが、柴田は不在だった。

外国人はタクシーでどこかへ行き、柴田もタクシーに乗って追跡した。

外国人は港に着き、停泊中の船舶に乗った。

野崎と石塚は中光貿易の田中社長(森塚敏さん)を尾行した。

田中はホテルに赴き、ロビーで戸川組幹部の中川(外山高士さん)と接触した。

中光貿易は外国船の船員が多数出入りしており、覚醒剤を買い取っているのではないかと推測した。

田中と中川が接触していたため、密輸入担当が中光貿易、卸元が戸川組である可能性があった。

柴田が帰宅したところ、山本が家に上がっていた。山本は、光スーパーの泥棒は天に許されるのではないかと言った。

柴田は山本をずっと尾行する余裕が無かった。山本はスコッチを持ってきていた。

柴田は中光貿易を張り込んでいたが、山本が尾行していた。山本は中光貿易を確認した。

柴田は田中社長の尾行を石塚と交代した。現在、中光貿易は無人の状態だったが、令状が無いので捜査できなかった。

山本は中光貿易の社長室に侵入し、通気口を開けた後、工具で金庫をこじ開けた。金庫には覚醒剤が入っていた。

柴田は自宅で就寝中、物音に感づいて起き、そっと部屋に近づいた。柴田宅には山本が侵入していた。

柴田は机の上に、雑誌の活字で「3月1日3時、中央公園にて取引あり」と貼られた封筒を見つけた。

封筒の中には少量の覚醒剤が入っていた。山本は田中社長に対し、覚醒剤を2000万で買い戻せと脅迫した。

柴田は自宅に侵入した者に心当たりが無かった。田中社長は中央公園に赴き、おでん屋の屋台で食事をしたが、屋台の主人は山本であった。

田中社長は無線機で部下に連絡していた。中央公園に柴田が来た。

柴田は屋台の主人に扮した山本を見て、山本の策略だと気が付き、張り込んでいた石塚と島に報告した。

山本は先ほど来た客から、田中という客が来たら持ってきた金を預かるように言われたと誤魔化した。山本はその客が柴田であると偽った。

田中社長は部下の社員(加藤寿さん、大宮幸悦さん)に、ラジオに偽装した無線機で柴田の捕縛を命じた。

柴田は社員を蹴散らした。山本は田中社長が目を離した隙に金を強奪して逃走した。

山本は逃走中、中川たちに捕まり、車で拉致されてしまった。付近には、車のナンバーを示すプレートが落ちていた。

中川は自宅にて、山本に覚醒剤の隠し場所を尋ねたが、山本は知らないと返した。

山本は組員たちに痛めつけられそうになったが、柴田が突入し、組員を蹴散らした。

中川は部屋から逃走したが、山本の妨害にあい、逮捕された。

山本は覚醒剤を、田中社長の手元から出ないと証拠にならないと思い、中光貿易の事務所の引出しに隠していた。

山本は柴田に手柄を取らせるつもりであり、入手した2000万円は交番に届けるつもりだった。

山本は光スーパーの開店3周年記念のマッチを所持していた。山本は倉庫荒らしが自分であることを自白した。

山本は光スーパーがあくどい儲け方をしていることに許せなかった。山本は柴田に逮捕を懇願し、柴田は手錠をかけた。

山本は柴田に対し、父親に似た良い刑事になったと褒めた。

 

 

メモ

*予告ナレーションは何とジーパンが担当。コメディタッチな作品。

*冒頭のジーパンとゴリさんと久美の会話が笑える。

*オイルショックによるトイレットペーパー不足が時代を感じさせる。

*本物の「スコッチ」が登場。まだスコッチ刑事が登場する2年前である。

*泥棒のシーン、脅迫するシーンは「怪盗107号」を思い出す。

*山本がおでん屋台をどうやって手に入れたのかは不明。

*陶器で腕を殴られようが、椅子で頭を殴られようが全く怯まないジーパン。セットをかなり破壊した。

*山さんが空気。

*ラストシーンは「危険を盗んだ女」を思わせる。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

柴田純:松田優作

島公之:小野寺昭

野崎太郎:下川辰平

 

 

永井久美:青木英美、柴田たき:菅井きん

山本吉三:有島一郎

田中社長:森塚敏、中川:外山高士

芹川洋、黒田清子、渡辺ふさ子、山本三郎

中光貿易社員:加藤寿(後の加藤大樹)、中光貿易社員:大宮幸悦、中光貿易社員:新井一夫、浅井哲男

ノンクレジット 戸川組組員:荻原紀

 

 

石塚誠:竜雷太

山村精一:露口茂

 

 

脚本:田波靖男

監督:竹林進