第84話「人質」
放映日:1974/2/22
ストーリー
白石登(21歳)(高峰圭二さん)は糸鋸でライフルの銃身を折っていた。
午前9時に東名信用金庫にて、シャッターが開いた途端に3人組の強盗が侵入した。
強盗の1人の白石は警備員にシャッターの下降を、強盗の1人である中野英雄(31歳)(中山克己さん)は行員に窓のそばに行くように指示した。
主犯格の霧島修司(34歳)(原口剛さん)は支店長(森山周一郎さん)に金庫を開けるよう強制させた。
霧島は金庫の扉を吹き飛ばすために爆弾を所持していた。
支店長は金庫室の扉を開けた。
霧島は支店長に大金を鞄に詰めるように指示した。
事務員の1人は、白石が外の様子を見に行った隙に警報装置を押したが、中野に撃たれてしまった。
霧島たちは逃走中に警官と遭遇した。
白石は警官の1人を撃ったが、別の警官数十名に包囲されて銃撃戦となり、中野が警官に足を撃たれてしまった。
霧島は信用金庫の後戻りを提案し、霧島たちは女子行員2人(1人は伊藤めぐみさん)を人質にとり、金庫室に籠城した。
霧島は金庫室の扉が、閉めると自動的に鍵がかかって中から開けられなくなることに気が付いた。
金庫室の前に捜査一係が駆けつけた。
山村によると、金庫室の壁の厚さが30cm~40cmあるため、どんなに高感度のワイヤレスマイクをつけても中の音は拾えないとのことだった。
石塚は内線電話に装置を取り付けた。
藤堂は金庫室に電話をかけ、霧島が電話を取った。
藤堂は内線の50番の電話にかけてくれと伝えたが、霧島は下手をすれば人質の命はないと伝えて電話を切った。
鑑識により、強盗2人の凶器が22口径のライフルであること、銃身が切断されていることが判明した。
銃身が短ければ命中率は落ちるが、殺傷力は変わらないうえに持ち運びには便利であった。
撃たれた事務員と警官の容態は何とも言えなかった。
藤堂は金庫室が換気扇も通気口もない完全の密室で、5人もいるために酸素が無くなるのではと危惧した。
中野の傷が悪化していた。女子行員は霧島に自首を勧めたが、霧島は白石に女子行員の脅迫を命じた。
金庫内にいる者が酸素の欠乏に気が付いた。
霧島は藤堂に1回電話をかけたが取り合わず、藤堂が電話をかけた。
霧島は金庫の壁に風通し用の穴を開けること、医師を呼ぶように強要した。
藤堂は壁に穴を開けるうえに医師も呼ぶが、人質を釈放すること、自分を人質にするように要求した。
藤堂は石塚に対し、外で待っている警察病院の医師を呼ぶよう要求したが、石塚は柴田に代わらせた。
石塚は主犯格の声が霧島であると直感し、自分を行かせるように要請した。
石塚は藤堂が人質になった場合、誰が指揮をとるのかと指摘した。
石塚は犯人を逮捕したら、ビーフステーキを奢るように頼んだ。
藤堂はワイヤレスマイクを石膏に包んでコンクリート片にカモフラージュするように連絡した。
藤堂は1時間後の3時に壁の穴から催涙ガスを投げ込み、照明を消して飛び込むという作戦と、中の状況を見てOKだったら連絡するように伝えた。
突入を決意した警察病院の長谷川医師(中村雅俊さん)が藤堂の前に来た。
長谷川は母親に自分の心配をさせたくないために、自分の突入をマスコミに公表しないように要請した。
石塚と長谷川が金庫室に突入し、女子行員と人質を交換した。
霧島は扉を閉めて穴を開けるよう命じた。
石塚と霧島が対面した。
石塚は長谷川に自分の心配をしないように頼んだ。
霧島は石塚にリンチを加えた。
霧島は以前、石塚の厳しい取調べの影響で犯行を自白したことがあった。
霧島のリンチの末、石塚は気絶してしまった。
金庫室に穴を開ける作業が開始された。
3人の犯人を目撃した事務員と警官の協力により、モンタージュ写真が出来上がった。
柴田は破片に偽装したワイヤレスマイクを金庫室に投入した。
霧島は穴開けの中止をするよう怒り、穴を開けていた作業員を撃った。
霧島は止めろと言ったのに止めなかった方が悪いと言って撤退を命じた。
作業員は防弾チョッキを付けていた。
一係は石塚の声が全く聞こえないことを心配した。
山村は金庫室にラジオと食料を差し入れた。
石塚はネクタイで手を拘束されていた。
藤堂は霧島たちの会話から、白石が国会議員の息子であると推測し、捜査した。
午後10時、藤堂のもとに西山署長(平田昭彦さん)と刑事(加藤茂雄さん)が駆けつけた。
西山はマスコミに警察が無能扱いされることを考え、早急な事態の収拾を命じた。
白石が国会議員の白石宏次郎の息子であることが判明した。
白石は3人兄弟の末っ子だが3年前(1971年頃)から銃に凝りだしライフルを2丁手に入れ、最初は鳥や獣を撃っていたが飽き足らなくて人間に銃口を向けていた。
白石は偏執狂な男であった。
西山は白石の父親が国会議員であることを考え、慎重な事態の対策を命じた。
野崎が持ってきたモンタージュ写真により犯人2人の身元が判明した。
霧島は昭和15年(1940年)2月22日生まれ、窃盗により9ヶ月の実刑判決を受け、7ヶ月で仮釈放となった。
しかし、強盗傷害を犯し、かつて城南署に在籍していた石塚により再逮捕され、7年5ヶ月の実刑判決を受け、城南刑務所に服役していた。
中野は昭和17年(1942年)8月14日生まれ、強盗傷害により5年6ヶ月の実刑を受け、城南刑務所に服役していた。
藤堂は石塚が、主犯格が霧島だと知っていながら自分に隠して突入していったことを怒った。
白石は逮捕されるまでに楽しみたいとして、警察にセスナを羽田まで用意させることを思いついた。
石塚が目を覚ました。
白石はセスナを飛行できる技術を持っており、白石は新宿か銀座の上空に札束をばら撒くことを提案した。
白石は時限爆弾をセットし、霧島は羽田にセスナを要求し、案内するように命じた。
石塚は大声で歌い、無事を知らせたが、白石や霧島に暴行された。
藤堂はセスナが4人乗りであって人質が1人しか乗れないことに気づき、強硬手段の実施を決意した。
藤堂は強硬手段の実施を、ラジオのパーソナリティに葉書を読ませることで、石塚と長谷川に伝えることにした。
石塚は霧島にタバコを要求し、タバコの火で拘束したネクタイを焼き切ろうとした。
午前0時、一係は準備を整え、石塚はネクタイを焼き切ることに成功した。
午前0時、石塚が飛びかかった隙に山村が催涙ガスを投げて、野崎が電気を消し、島と柴田が突入し、霧島と白石を逮捕した。
藤堂は石塚に日本で一番旨いビーフステーキを奢ることを約束した。
メモ
*一係室のシーンは最初のみ。久美は未登場だが、クレジットはされているので、シーンカットの可能性あり。
*強盗2人の高峰氏と中山氏は、「ウルトラマンA」でTACの隊員として共演していた。
*ボスが人質になっていたら、霧島もそこまで興奮せずに済んだのでは…
*今作は中村雅俊氏の俳優初出演作でもある。中村氏は三代目新人刑事(テキサス)の候補であり、今作がテスト出演であったが、刑事にしては顔が優しすぎるという理由で没になったらしい。
*ゴリさんは犯人にリンチにあうことが多く(「ペスト」、「カレーライス」など)、今作はその先駆けともいえる作品。ゴリが暴行の末気絶させられるのは珍しい。
*ゴリさんが暴行されるシーンや犯人が大物の息子である展開は「ボス、俺が行きます!」を彷彿とさせる。
*籠城犯と刑事が人質になる回の先駆けの作品でもある。
*「12時ジャストになると電気が消されてしまう。部屋は真っ暗。悔し涙で溢れる」催涙ガスと停電を遠回しに伝えたうまい言い方。
*傷だらけのゴリさんが非常に痛々しい。
*タバコの火で拘束しているネクタイを切ろうとするゴリさん。「ドックの苦手」にて、ロープで硫酸を切ろうとしたドック並みに危ない。
*霧島を徹底的に格闘で追い詰めるジーパン。ゴリさんを徹底的に苦しめた恨みか?
*今回、殿下は台詞無し。
キャスト、スタッフ(敬称略)
藤堂俊介:石原裕次郎
柴田純:松田優作
島公之:小野寺昭
野崎太郎:下川辰平
西山署長:平田昭彦
白石登:高峰圭二、霧島修司:原口剛
東名信用金庫支店長:森山周一郎、中野英夫:中山克己、長谷川医師:中村雅俊
東名信用金庫行員:伊藤めぐみ、志賀正浩、佐藤耀子
村山憲三、菊地正孝、松下昌司、中村文孝
ノンクレジット 刑事:加藤茂雄
石塚誠:竜雷太
山村精一:露口茂
脚本:永原秀一、峯尾基三
監督:竹林進