第58話「夜明けの青春」

放映日:1973/8/24

 

 

ストーリー

ビルの屋上にて、拳銃強盗を行った畑中次郎(平野康さん)という青年が籠城した。

藤堂は山村に説得を任せた。

山村は拳銃の弾が1発しかないと忠告し、償う道があると説得した。

畑中は金をばら撒いた後、頭を撃ち抜いて死亡してしまった。

拳銃事件が報道された。

柴田は畑中が欲求不満やストレスに疲れていたのではないかと考えていた。

藤堂は署長室に呼ばれていた。

西山署長(平田昭彦さん)は山村の行動をミスとして謹慎させるよう命じたが、藤堂に山村を信頼しているとして反論された。

藤堂は一係室に帰ったが、署長室の一件を話さなかった。

石塚のもとに徳岡から、3丁目の福永芸能社社長の福永隆三が、拳銃密売をしているという密告電話がかかった。

山村と石塚が出動し、遊園地にいる徳岡(上田忠好さん)と対面した。

徳岡によると、福永は2,3年の間に外人ルートから密輸拳銃を23丁入手し、暴力団に横流ししているということだった。

また、徳永は畑中の拳銃が福永の密輸拳銃であること、福永が密輸拳銃の運搬に流しの歌手を使っているという情報も話した。

畑中と歌舞伎町で2,3度話している男は山村に、畑中が歌手志望であり、レコード会社でオーディションを受けたが、落選していることを話した。

山村が居酒屋「いちふく」で女将から聞きこんでいるところ、福永芸能社の流しの歌手2人が来店した。

山村は同時に来店していた野崎から励まされたが、未だに畑中のことを後悔していた。

若い歌手の木村実(峰竜太さん)は「いちふく」の客から「戦友」をリクエストされたが、知らなかったので演奏できなかった。

木村は客に叱咤され、上司の倉田(中庸介さん)に痛めつけられた。

山村は倉田の暴行を止めようとしたが、倉田に犯人の説得に失敗した刑事であることを知られていた。

柴田は福永芸能社を張り込んでいた。

木村は早朝にこっそり福永芸能社を抜け出して新宿中央公園に向かっていたが、柴田に追跡された。

木村は「いちふく」で働いている恋人の山下直子(降旗文子さん)と合流した後に、公園で植えたナスの苗木に水を与えていた。

木村と直子は二人でナス畑を走っているのを夢見ていた。

柴田は山村に、木村が拳銃密輸には関係ないと意見したが、畑中も同じような青年だったと返された。

倉田は福永に、梶田組に拳銃を売ることを伝えられ、拳銃の受け渡し役に木村を指名した。

福永が昭和30年(1955年)に福永芸能社を経営する前、梶田組の幹部をしていたことが判明した。

山村は木村を徹底的にマークし、ハニーレコード社に向かった。

山村は社長からオーディションの申し込み書類を見せてもらった。

書類の中に畑中と木村がいた。

社長は畑中と木村が審査結果発表の日に落胆していたこと、福永芸能社の社員が畑中と木村をスカウトしていたこと、畑中が流しの歌手にもなれなかったことを思い出した。

倉田は木村に直子が喘息ではないかということを伝え、明日の午前6時に、福永から渡された骨董品の鞄を使いの黒川(木島進介さん)に渡すという仕事を頼んだ。

鞄の中身は拳銃だったが、事情を知らない木村は金の弾む仕事として承諾した。

山村は直子と別れた木村をタクシーで尾行した。

木村は福永から鞄を渡された後、再びタクシーに乗って宮下公園に向かっていた。

山村と石塚は黒川と合流し、鞄を渡そうとした木村を呼び止めた。

石塚が黒川を、山村が鞄を持って逃走した木村を追跡し、黒川の逮捕に成功したが、木村には逃げられてしまった。

木村は鞄を開け、中身が拳銃であることを確認してしまった。

倉田は山村と柴田に尋ねられるも、何も知らないと述べた。

山村はナスの苗木を思い出し、公園に向かった。

木村は従業員の慰安旅行で休業している居酒屋「がんばるにゃん」にて、拳銃を取り出していた。

直子は喘息のことを謝罪し、木村についていくと宣言した。

山村は雨の中、茄子の苗木を張り込んでいた。

木村は公園に向かう途中、咆えた犬を射殺し、逃走した。

柴田は木村の事件が3丁目で発生したとして、別の場所に山村を向かわせようとしたが、山村は行かなかった。

直子は逃走中に喘息の発作を起こしていた。

木村と直子は倉田と部下に遭遇してしまった。

倉田は鞄を渡すよう要求したが、木村に撃たれてしまった。

山村と柴田は銃声を聞いて木村と直子を発見した。

山村は木村に右肩を撃たれてしまった。

山村は木村を追跡し、柴田は倉田の部下を蹴散らした後に山村の後を追った。

木村と直子はビルの屋上に向かっていた。

山村と柴田が到着し、遅れて藤堂たちも駆けつけた。

山村はナスが実をつけたと説得した。

木村は拳銃を捨てて飛び降りようとしたが、山村に生きてくれと再び説得され、観念した。

福永が拳銃密売のことについて全面自白した。

直子は藤堂の知人の計らいで信州の牧場に勤めることになった。

 

 

メモ

*山さんが説得に失敗した珍しい話。

*ゴリさんの情報屋、徳岡が再登場。

*峰氏は「お人好し」でも拳銃を持ったために悪の道に堕ちていく青年を演じている。

*全く空気の読めない久美。

*実の名字はボスが「木村」と言っているが、履歴書には「村木」と書かれている。ノベライズでは「村木実」表記。

*脚本の武田氏は今回と「目には目を」を担当。

*後に監督を担当する堀内泰治氏が出演。

*予告では、ラストの山さんの説得の言葉が中心となって構成されている。

*直子の名字「山下」、倉田(福永の部下、木村の兄貴分)は劇中未呼称。ソースはノベライズより。

*今回は「新宿に朝は来るけれど」と同時撮影。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)
藤堂俊介:石原裕次郎
柴田純:松田優作
島公之:小野寺昭
野崎太郎:下川辰平

 

 

永井久美:青木英美
西山署長:平田昭彦
木村(村木?)実:峰竜太、山下直子:降旗文子
徳岡:上田忠好、倉田:中庸介(現:中庸助)、平田守、畑中次郎:平野康
「いちふく」女将:槇ひろ子、東大二郎、田中志幸、堀内泰治、黒川:木島進介

 

 

石塚誠:竜雷太
山村精一:露口茂

 

 

脚本:武田宏一、小川英
監督:竹林進