第1話「マカロニ刑事登場!」

放映日:1972/7/21

 

ストーリー

早見淳(萩原健一さん)が愛用のジムニーで七曲署に赴任した。
早見は少年係の内田伸子婦警(関根恵子さん)にからかわれたが、頑固に刑事であると言った。

早見は一係室に入り、自己紹介をした。

藤堂俊介係長(石原裕次郎さん)は早見に対し、警邏課から拳銃を貰うように指示した。
早見は島公之刑事(小野寺昭さん)から「マカロニウェスタンにこんなのがいなかったのか」と呼ばれたことがきっかけで、「マカロニ」と呼ばれるようになった。
野崎太郎刑事(下川辰平さん)は早見に、島刑事と石塚誠刑事(竜雷太さん)を紹介した。

捜査一係内では、島は「殿下」、石塚は「ゴリさん」、野崎は「長さん」と呼ばれていた。

早見は石塚から、捜査一係がファッションショーではなく、犯人を検挙する場所であると釘を刺された。

早見は島から、1年先輩の少年係の伸子を紹介された。

一係室に殺人の通報があった。
藤堂は早見に、山村精一刑事(露口茂さん)と一緒に行動するように指示を出した。
早見は雀荘に向かったが、山村は麻雀の真っ最中であった。
山村は情報屋(石山克巳さん)に煙草の箱に隠した1000円を渡し、

*被害者が佐山史郎(25歳)という住所不定のフーテン上がりのチンピラであること

*佐山が最近拳銃を探していたかもしれないということ

*狭山が根城にしたのはスナック「パークサイド」であるということ

の3点の情報を得た。
山村と早見は「パークサイド」のマスターの武久浩二(浜畑賢次さん)に佐山のことについて尋ねたが、武久に客のことをいろいろ覚えている暇が無いという返事を受けた。
山村はバーテンダー(鹿島信哉さん)に尋ねた。
沖山守(水谷豊さん)という青年がその光景を見ていた。
東西新聞の新聞記者の竹内六郎(片岡五郎さん)が佐山のことを電話で伝えたが、10円玉が無くなり、通話が切れてしまった。
竹内は世界タイムスの女性記者の美山優子(山東昭子さん)に電話を取られた。
美山は射殺事件の犯人が子供っぽい男だけであることを連絡した。
山村は「パークサイド」の常連である守が、同じ「パークサイド」の麻田ユカと恋仲になっていたこと、佐山に拳銃をせがんだのは守だということを掴んだ。
石塚は暴力団関係から組織が拳銃の密売を握っているということを掴んだ。
密売組織が守を消す可能性があった。
拳銃組織の一員がボスに連絡をした。

拳銃密売組織のボスは守を始末するように命令した。
守は公園に隠れ、ユカ(鹿沼エリさん)を発見したが、ついでに巡回中の警察官も発見したため、逃走した。
早見はユカに守の所在を訪ねたが、客に警察官であることを密告されてしまった。
武久は、「パークサイド」にいるときだけは守も由ユカも他の客も仲間だが、お互いにどこの誰かも良く知らないため、尋問しても無駄であると伝えた。
武久は早見にどうして刑事になったのか、早見は武久にどうしてこの商売に就いたのかを質問した。

武久は「この商売が好きだから」と、早見は「拳銃を放ちたいから」と答えた。

早見は武久から守が抵抗したら撃つのかと質問され、抵抗したら相手より先に撃つと答えた。
守は聞き込みをする早見を見て逃走し、「パークサイド」に逃げ込んだが、拳銃密売組織が張り込んでいたため、店外へ逃走した。
早見は路地裏で守を追い詰めたが、拳銃の引金を引くことができず、代わりに石塚が撃たれてしまった。
早見は石塚から、犯人を追跡するように指示されたが、石塚を庇うばかりだった。
石塚の怪我は骨に異常が無く、1週間程度で歩けるとのことだった。
山村は早見と一緒に小料理屋「宗吉」で食事をした。
伸子は早見を励ましたが、早見に突っぱねられるばかりであった。
店主の内田宗吉(ハナ肇さん)は刑事だった頃の話をし、犯人を射殺しておけば良かったのかと思っているのであれば、刑事を辞めたほうがいいと助言した。

宗吉は早見から、人を撃ったことがあるのかと質問されて何も言えなくなった。
早見は下宿先の煙草屋の2階でギターを弾いていた。
煙草屋の女店主である武田ウタ(賀原夏子さん)は呆れていた。
早見は入院している石塚を見舞いに行った。
早見は刑事に向いていないと愚痴を言ってしまい、石塚に殴られ、叱咤された。
石塚は藤堂が怒った理由を撃たなかったからではなく、犯人を逃がしたからであると説明し、自分の拳銃の弾倉が空であることを告げた。
伸子は少年係の自分にも出動を要請したが、藤堂に相手が拳銃を持っている殺人犯であることを理由に却下された。
早見が拳銃を一係室に置いて出て行った。
早見はユカがアパートを抜け出したため、ユカを尾行したが、ユカは拳銃密売組織に誘拐された。
山村は藤堂に車のナンバーを連絡した。
早見はパークサイドに急行したが、武久が行方不明になっていた。
拳銃密売組織は武久をリンチし、守の隠し場所を尋問していた。
朝日町の廃ビルの中で車を見かけたという情報が入り、藤堂と野崎と島が出動した。
山村と早見は廃ビルの中で傷だらけの武久を発見したが、ユカはいなかった。
武久は守を自首させようとしてかくまったこと、守が午後3時に後楽園遊園地に行くことを説明した。
伸子を除く捜査員は後楽園を張り込んでいた。
守が後楽園に来た。
早見は逃走する守を追いかけ、藤堂と野崎と石塚と島は拳銃密売組織の構成員全員を逮捕した。
早見は守から「撃てるものなら撃ってみろ」と挑発されたが、拳銃を持っていなかった。
守は藤堂と早見の説得を聞き、拳銃を捨てた。
守はただ拳銃がかっこいいから持ちたかったが、佐山が拳銃を販売した後で自分を強請り、約束の金額の倍の額を出さないとばらすと脅迫していた。

守は誰も撃つ気が無かった。
守は逮捕された。
藤堂たちは石塚の病室で乾杯していた。
藤堂は早見に、人間が人間を平気で撃てるようになったら終わりだと言い聞かせた。

 

 

 

 

メモ
*この回のみ、OPにアバンが入る。
*色んな人に「お前刑事なのか」と疑われるマカロニ。

*七曲署の官庁舎は後年と異なるもの。
*ボスの机の脚くみ。正直いってかっこ悪い。
*初っ端からラーメンを食べるゴリさん。
*ゴリさんの名の由来を「ゴリラ」からと言うマカロニ。この10年後、ボギーも同じことを言ってゴリさんに怒られる。また、吉野巡査もゴリさんの名の由来をゴリラからと言っていた。
*まだ長髪な長さんと短髪な山さん。
*早見の格好はあまりマカロニウェスタンに見えない。
*後年の令子さん(マミー)並に強気なシンコ。

*捜査中なのに麻雀をする山さん。ジーパン編辺りからほとんど見られなくなる。(ロッキー&スニーカー編の「ゴリラ」と「密偵」で久々に麻雀シーンがあるが)
*「太陽」に頻繁に登場するスナック「パークサイド」や新宿中央公園が初登場。
*放任主義の山さん。
*凸凹コンビの新聞記者2人。この後、「プールサイドに黒いバラ」と「ジュンのお手柄」に登場。
*水谷豊さんは「相棒」の知的なイメージと全く異なる。(「傷だらけの天使」は未見)
*マスターを演じる浜畑賢次氏(後にうたた賢と改名)は後にロッキーの兄を演じる浜畑賢吉氏の弟である。
*由佳を演じる鹿沼エリ(現:鹿沼絵里)氏はこの作品が女優デビュー作となった。
*新人刑事を庇って撃たれる先輩刑事という構図は「怒りのラガー」を思い出す。(「怒りのラガー」にも「パークサイド」が登場。)
*リンゴを生かじりし、武田に食べかけのリンゴを渡すマカロニ。武田は「手錠と味噌汁」にも登場。

*初「ゴリさんが新人を殴る」指導。これはスニーカーまで受け継がれる。

*今回は軽傷で済んだゴリさんだが、似たような状況の「13日金曜日 マカロニ死す」では重傷を負ってしまう。
*まさしく「叱咤激励」な病院のシーン。ゴリさんの拳銃はこの時のみオートマチック。

*食べかけのフランクフルトを捨てる早見。勿体ない。
*「自分流」と聞くと「俺たちの仲間」を思い出す。
*早見が由佳のアパートを張り込むときの歌が分からない。(世代ではないので)
*長さんと殿下は今回空気。
*ゴミだらけの後楽園球場。まだ昭和40年代の東京は汚い。
*「太陽」初のエンディングはボスとマカロニの後ろ姿で終了となった。コミカルなエンドは「バスに乗ってたグーな人」まで待つことになる。

*今回のマカロニの疾走シーンは、後に「マカロニ ジーパン そしてテキサス」で使用されている。

*いざというときに拳銃が発砲できなかったマカロニ。後に「働くものの顔」の松原婦警も同じミスをしている。

*武久(「パークサイド」マスター)の名前、守とユカのフルネームは本編未登場。台本から確認。

*新番組予告について

*「NOWな」という表現が時代を感じさせる。

*一部次回の「時限爆弾 街に消える」の映像が使われている。

*「野崎太郎:下川辰平」の表記が無い。なぜ?


 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

早見淳:萩原健一

内田伸子:関根恵子(現:高橋惠子)

島公之:小野寺昭

野崎太郎:下川辰平

 

 

武田ウタ:賀原夏子

美山優子:山東昭子、竹内六郎:片岡五郎、武久浩二:浜畑賢次(後のうたた賢)、沖山守:水谷豊

拳銃密売組織の一味:林邦史郎、情報屋:石山克巳(現:石山勝巳)、武田昌之、麻田ユカ:鹿沼エリ(現:鹿沼絵里) 、伴藤武

吉田進、中村和夫、「パークサイド」バーテンダー:鹿島信哉、石川隆昭、西条美加子、佐藤けん

ノンクレジット 拳銃密売組織構成員:新井一夫、拳銃密売組織構成員:柿木恵至

 

 

石塚誠:竜雷太

山村精一:露口茂

内田宗吉:ハナ肇


 

脚本:小川英、長野洋

監督:竹林進