生活の質(QOL)の評価はなかなか困難な課題です。人によって生活のどの分野に比重を置いて質を測るかはそれぞれ異なります。しかし、治療の効果は、最終的には患者自身によるQOLの自己評価によって判断すべきであり、また医療費との関係を分析する際にQOLの様々な側面を集約して総合的に評価をする必要があります。
その1つの方法が、イギリスのヨーク大学を中心として開発されたEuroQol(ユーロコール)のEQ-5Dです。これは移動の程度(歩き回れるかどうか),身の回りの管理(洗濯や着替え),普段の活動(仕事,家事,余暇など),痛み/不快,不安/ふさぎ込み、の5つの項目をそれぞれ3段階で評価する自己申告式の質問表調査であり、これら5つの結果の組み合わせを換算表で見ると、生活全体を反映した1つの値で表すことができます。
EQ-5Dを用いることによって、分野の異なる様々な医療技術の評価が可能となり、特に医薬品の効果を評価するうえで大きな成果が期待できます。英語の原版から、各国で厳密な手続きのもとに翻訳・検証がなされており、また、日本語版と日本における実測に基づいた換算表も完成したので、研究に利用されています。
なお、イギリスでは製薬会社が臨床治験で経済評価も行い、そのデータをNICE(National Institute of Health and Clinical Excellence)に提供することが定着しております。その際一般にEuroQolを用いてQALYを測定します、1QAL当たりの費用がおおよそ3-5万ポンド(500-800万円)以上であれば「推奨せず」の決定がなされますが、諮問委員会の意見、エビデンスの確かさなどを総合的に判断して決められています。
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