岐阜県多治見市のオリベストリートの骨董店 「珍品家」 です。
(大半の写真は削除しましたが、一部は残しました)
先回、紹介しました円空仏の真贋のため円空仏専門家(名前と組織は伏せています)宅に所有者にお伴して行ってきました。
白黒を付けて頂くための訪問ですので、入室から退出までの重たい空気に緊張しました。
既に先生、先生所属のカメラマンの方が我々の到着を待っておられ、所有者が古い木箱から円空仏?を取り出して、先生の前に差し出すと、先生は手に取られ無表情で無言、カメラマンの方も身を乗り出して見ておられました。
静寂の中、先生が
「写真を撮りましょう」
の一言が息をのむ瞬間なのか分からず、カメラマンの方の手伝いをしながら静観しておりました。
その状況はこんな感じです。
下の写真、
背面部に墨字跡のような染みた箇所が数か所ありますと指差すと、カメラマンの方は凝視されておりました。
下の写真
カメラに注目、赤外線で確認中です。
我々は、墨字跡をどう判断されるのか注目しておりましたが、
「墨字跡ではないですね」
の一言にガッカリしましたが、カメラマンの方は、
「千光寺の円空仏でも半分は墨字跡はないですよ」
とポツリ。
静寂の中60分位間、ミリ単位の撮影をされ、聞こえるのはシャッター音だけ。
ただただ真贋だけを気にしながら、先生とカメラマンの会話から真贋に繫がる何かを拾えないかと聞き耳を立てておりましたが、
何も拾えない。
最後に
「今日の写真を会員と検討しますが、出何処の所在地と名前を詳しく調査して下さい」
と一言。
先生が運営される組織は、円空を愛する方々で組織し、真贋は満場一致を原則としていることが分かりました。
二週間後、
「間違いなく円空の彫で傷みも無く会員一同、真作に間違いないとの判断に至りました。墨字は円空が書き残した時代も
あれば、書かなくなった時代もありますので参考として見ます。最終の決め手は、私が保管してる所有者名簿と後日報
告された出何処と名前が一致したことで決定しました。」
との回答を頂きました。
先生が保管されている所有者名簿は、昭和時代に円空が滞在した記録に基づいて、円空仏所有者調査が纏められ、県?が管理することになったようです。
今回は良い勉強をさせて頂きました。
鑑定というのは、最終決定権者の判断の重さと言うのを痛感させて頂きました。
細々とやっている珍品家ではありますが、人様に骨董を提供する側として、真贋というものに責任が取れなければ販売できないということを強く思いました。
合掌
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