弟からこんな内容のLINEが来ました。

 

「ママから宇野くんのエッセイを読ませてもらいました。彼のポリシーについては今まで知らなかったので、知ったことによってまるで印象が変わりました。争いの先の時代に進んでるね。世の中全ての流れにも繋がるといいような、素晴らしい先駆けだね。」

 

フィギュアのテレビ観戦はタイミングが合えばする程度のライトファンの弟。

 

仕事のない週末は母の家に行くので、週末の試合は、よく母と一緒に観戦していました。

 

そんな弟が、昌磨さんの印象がまるで変わったというのです。

 

「ママから宇野くんのエッセイを読ませてもらった」というのは、わたしと母が3年前から参加している随筆の同人誌の中で、わたしの書いたエッセイを読んだ、ということです。

 

「宇野昌磨選手の引退」という題で、最近わたしが書いたもので、それを読んで、「素晴らしい先駆け」と昌磨さんのことを褒めてくれたのだから、書いた甲斐があったというもの。

 

 

 

 

随筆の同人誌は、3年前、母が友人に誘われて始める時に、「一緒に始めない?」と誘ってくれました。

 

年に4回発行で、一回原稿用紙3枚だから、気軽に楽しめそうかなと思って参加させてもらうことにしました。

 

3年くらい書いてきたのですが、フィギュアスケートについて書くのは初めてで、当然、昌磨さんについて書くのも初めて。

 

彼の引退についてであれば、世間のニュースの一つとして知っている人が多いだろうし、書いてみようかなと思いました。  

 

昌磨さんの引退と共にどういうエピソードを書こうかと、ずいぶん思いを巡らせました。

 

いろいろ考えたあげく、以下のようなものが、同人誌に載りました。

 

 

 

 

宇野昌磨選手の引退    

 

 今年5月、フィギュアスケートの宇野昌磨選手が引退を発表した。

 バンクーバーオリンピックを観て以来、ライトファンからフィギュアスケートオタクの域に足を踏み入れた私にとっては、直近の推しが宇野選手だった。定型のアスリート像に当てはまらない独自の考えやスタイルは、あまりにもそれまでの選手とは違っていて、ユニークでいつもワクワクした。

 選手同士は競技の上では戦うのだが、敵ではなく仲間なのだと宇野選手はよく言う。試合では全ての選手の演技を見て全員を応援するのが、宇野選手のスタイルだ。普通は他の選手の演技は見ないのだそうだ。良くも悪くも自分の演技に影響が出てしまうからだ。他人のミスが自分の順位を押し上げるという現実がある。

 どの選手も厳しい練習の成果をこの試合で出したいと願っている。「みんなそれぞれが望んでいる演技ができますように」宇野選手は損得なく心からその気持ちでいるので、ライバル達の演技を応援しながら見ていられるのだ。そんな選手はそれまでいなかった。

 平昌オリンピックのこんな逸話がある。宇野選手は、自分のフリーの演技の前に、スペインのハビエル・フェルナンデス選手の演技を見て、ジャンプのミスを残念がっていた。あまりにも本気で残念がっているのでコーチが心配して「これから自分の演技があるのよ」と言うと「大丈夫です、自分のやるべきことはきちんとやります」と言って緊張することもなくリンクへ出ていき、いつも通り滑り切って、銀メダルを獲得した。

 そんなユニークな宇野選手も、10年に渡りトップ選手として活躍して、世界一にも二度なった。その競技のトップ選手というのは、競技全体の雰囲気にも大きな影響を与えるという。選手同士がリスペクトし合い、いい演技を称え合いながら切磋琢磨する雰囲気が、今の男子フィギュアにはある。輝かしい成績だけではなくそんな功績も残して、宇野選手は現役を引退した。

 

 

 

 

という内容です。

 

本当はもう少し文章は続きます。

 

 

 

 

昌磨さんの演技は、何度もテレビで見たことがあっても、こういう人だとはまるで思っていなかった弟は、心底驚いたらしいです。

 

弟の言葉で嬉しかったのは、「争いの先の時代に進んでいるね。世の中の全ての流れにも繋がるような、素晴らしい先駆けだね。」という言葉でした。

 

本当にその通りだなと思います。

 

 

 

 

同人誌はもう60年以上続いているもので、書いていらっしゃる方は年配の方が多いです。

 

次号には、読んでくださった方の感想も載ります。

 

つまり、書いてから5ヶ月くらい経って、コメントをもらえるようなものですね。

 

その時差もなかなか味わい深い。

 

来週、年に一回の、同人誌の総会があります。

 

初めて出席する予定です。

 

新しい出会い、久しぶりだな〜。