俺は今の会社に移籍して

かなり幅広い種類の貨物を

取り扱ってきた。


動物、加工食品、石油製品、塗料、化粧品、

皮革製品、毛皮製品、アパレル、

アクセサリー、金属製品、

機械類全般、自動車パーツ、ボート、

楽器、熊よけスプレー、家具、玩具、

スポーツ用品、ブラシ、美術品

など多数取り扱ってきた。

(これらの事例は #遡及投稿 というタグで

書いていきたいと思っている)


その中でも食品については、

前職で10年ほど

しっかりやってきたこともあり、

通関のみならず、検疫関係も強いと

自負している。


今回はフルーツピューレの通関を

行ったので紹介したい。

フルーツピューレというと、

ヨーグルトのソースとして使用されたり、

スムージーなどの飲料に使用されたりと

食品にフルーツの風味を引き立てるために

あるいはメインの味わいとして

利用されたりしている。


ラズベリーピューレ



このフルーツピューレだが、

輸入後にどういう用途で利用するかにより、

厚生労働省検疫所へ行う食品届の対応が

異なる。

特に飲料用の原料となる場合は

「食品、添加物等の規格基準」

(昭和34年厚生省告示第370号)

の第一 食品、

D. 各条 の中にある

清涼飲料水

というカテゴリーに定められている

成分規格に適合しなければならない。



皆さんがよく飲まれる

缶コーヒー(ブラック)やミネラルウォーター、

コーラ、お茶、スポーツドリンク

といった飲み物はほぼこれに該当する。




このミネラルウォーターも

厳しい検査を経て輸入されている



一般的には

・混濁してはならない

・沈殿物があってはならない

 (上記は原料由来のものなどこの限りでないものもある)

・金属製容器入りのものについては

 スズの含有量が150.0ppmを超えてはならない

 (清涼飲料水の液体が直接触れる容器)

・大腸菌群陰性

という成分規格が共通である。


この中でもさらにミネラルウォーターについては

かなり基準が厳しく、

規格の項目が多い。

(詳しくは清涼飲料水のリンクを参照)


他にも種類により、

規格の項目が他に存在したり、

製造基準、保存基準なども設けられている。


輸入品については、

上記規格に適合しているかどうか

初回輸入時、またその後一年毎に

自主検査を行うよう指導される。


こういった検査は

厚生労働省に登録されている

登録検査機関に依頼して行う。



もちろん検査機関にもよるが、

ミネラルウォーターを除く

清涼飲料水規格の検査は

1検体あたり30000円前後の費用がかかり、

納期は大体営業日ベースで

7日〜10日程度である。


ミネラルウォーターは

もっと時間と費用がかかる。


サンプリングの場面


他にも添加物の使用の有無により

添加物の使用基準の検査、

ベリー類使用の場合は製造国によっては

放射性物質の検査を行わなくてはならない。

旧ソ連原子力発電所事故に係る輸入食品の監視指導について


他に輸出国、製造国、使用原材料等により

検査命令対象のものもあるし、

その他の検査もありうる。


飲料ではなく、

製菓原料や氷菓原料などであれば

清涼飲料水の規格検査は不要である。

今回取扱った貨物はこれに該当して

初回の書類審査のみで完了した。


また通関においても、

フルーツピューレについては、

果実の種類、

加熱加工の有無や裏ごしの網目の大きさ、

砂糖の有無などで

税番や関税率が大きく異なり、

原材料表や製造工程表の確認は必須である。

HSコードは2007項か2008項に

ほとんど該当するはず。



関税率表解説第20類

国際分類例規第20類

国内分類例規第20類


EPAについても、

原産地規則が厳しい原材料があり、

こちらも上記資料の確認は必須である。


食品事例集にも列挙しておきたい!





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