高校の同級生。


A君。


彼は自他共に認めるブサイクフェイスだった。


勉強もスポーツも並以下。


ただ、

笑いのセンスがずば抜けていた。


そして、

よく笑いの神様が舞い降りていた。


僕は笑いに対しては結構厳しい。


そう簡単には笑わない。


自分で言うのもなんだけど、

僕が認めていたということは、

それだけ彼のセンスがずば抜けていたということ。


彼の通知表は最低だったけど、

笑いの通知表があればオールAだ。


巨人師匠も認めざるを得ないだろう。


鋭いツッコミ、

即興替え歌、

モノマネ。


とにかく、

笑いに関しては、

恐ろしい程に頭の回転が速かった。


ただ、

彼の笑いには致命的な欠点があった。


女子にはウケないのだ。


下ネタでもないのに、

女子ウケしない。


ていうか、

女子はちょっとひく。


彼は少し奥手だったから、

女子に対しては、

存分に力を発揮することができなかったのが敗因だと思われる。


大阪という場所は、

面白ければ、

多少はモテる場合があるのだ。


非情に勿体ない。




彼はよく即興でモノマネをした。


僕は今でも忘れられない。



警察24時のワンシーン。


警察官が裏DVDの販売店に乗り込む。


確認のために、

店舗にあるDVDをその場で再生する。


映像を見た警察官の一言。



「見えとるやないか!」



当時の僕は笑い転げた。



僕の拙い文章じゃ、

この面白さはほとんど伝わらないだろーけど。



彼とは8年くらい会っていない。


彼も27歳のはず。


もう結婚しているかも知れない。


死んでいるかも知れないが。


久々に会いたいと思っている。


会ったらきっとガッカリすると思う。


当時の神懸かった笑いのセンスなど、

微塵も感じられない気がする。


僕は一度、

そんな経験をしている。


まぁ、

人は変わるものだし。



会って、

ますます笑いのセンスに磨きがかかっていれば、

僕は彼に惚れてしまうかもしれない。


禁断のア☆ルに突入してしまうかも知れない。