憑神

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浅田次郎さん原作の同名小説の映画化です。
舞台化もされています。


味がありますね。
まず、3柱の災いの神のキャスティングがいいです。いい人のような”神”です。
主人公の彦四郎のキャステキングもいいです。実直な彦四郎にピッタリです。
冒頭で榎本武揚と交差させることにより、うだつのあがらない、武家の三男で居候という位置づけを明確にします。
これが、物語の発端である神社への参拝の動機付けになります。
このあたりの誘導が絶妙です。


ゆったりとしたテンポで物語が展開します。
ストーリー展開がゆったりしているのではなく、役者の間がゆったりしているのです。
前半は、江戸時代の間です。
ところが、慶喜の影武者のくだりから、物語が急転直下します。
急に間が短くなり、まさに、維新の夜明けのようです。
いい時間感覚だと思います。


一方、カメラワークであったり、セリフ回しやVFXには、”今”が見当たりません。
ちょっと、古くさく、カビくさい感じです。
まぁ、仕方のないところでしょうか。


ノリを軽くしようとして、失敗した感は否めません。
中途半端な骨太です。


彦四郎役に、妻夫木聡さんです。
いい人の役はバッチリです。
聡明なニオイもしますし、頼りないところもイメージどおりです。
立ち位置のよくわかった芝居でした。
男前なダメ男を演じたら日本一です。


三柱の災神は、西田敏行さん、赤井英和さん、森迫永依さんです。
それぞれ、個性的でインパクト十分でした。
なかでも、西田さんのボケ演技は絶品です。


とても愉快な作品でした。
風刺もいいアクセントです。


武士の本懐の描き方に、揺るぎはありません。


監督:降旗康男 脚本:降旗康男、小久保利己、土屋保文 (2007年)