商売繁盛を祝うまつり「ゑびす講」のある十一月
の朔日餅は、商いの神・ゑびす様にちなみ「ゑびす餅」。
今月も、伊勢神宮御関係の方から、有り難く拝領させて頂き、天照大御神様の御神威を賜りました。
元来、ゑびす様とは、大国主命の御子・事代主命の同一神とされて幽界をお鎮めになられている偉大なる神。
高天原の遣いである武甕槌命から、大好きな漁に興じていた事代主命は、それが天照大御神からの神慮と聞かされるや否や、「承知した」とこれを受諾、逆手で柏手を打ち幽界にお隠れ鎮まられました。
ゑびす様になられてからは、大好きな漁に因み、いつも肩に鯛の掛かった釣竿を下げて福よかな満面の笑顔で鎮まられており、その風貌はまさに「福の神」。
打ち出の小槌に見立てた焼印を施された餅は、餡も生地も黒糖の味わいで、黄金色の小判に見立てた餅は、さっぱりとした柚子風味とされ、一度に二度楽しめる11月の伊勢神領民にとっての風物詩となっています。
11月とは、商人にとって非常に大切な「ゑびす月」に当たります。
これは、神無月(旧暦10月)に出雲に赴かない「留守神」とされたえびす神(夷、戎、胡、蛭子、恵比須、恵比寿、恵美須)ないしかまど神を祀り、1年の無事を感謝し、五穀豊穣、大漁、あるいは商売繁盛を祈願する事に起源を有します。
地方や社寺によっては、旧暦の10月20日であったり、秋と春(1月20日)の2回開催したり、十日えびすとして1月10日や1月15日とその前後などに行うこともあり、「えびす祭」や「えべっさん」とも言われる。
ゑびす講とは、漁師や商人が集団で祭祀をおこなう信仰結社的な要素を有した「講」の一つであり、各家庭内での祭祀の意味も持つ。
特に、東日本では家庭内祭祀の意味合いが強く、また東日本では商業漁業の神としてのみならず、農業神として崇める傾向が西日本よりも顕著とされます。
神無月の語源は、全国の神様たちが出雲大社に集まって話し合いをする月なので、各地で神様が不在になるからといわれています(諸説あり)。
そして、えびす様も神様でいらっしゃるので、当然旧暦の10月には出雲へ出かけるのでしょう。。と思いきや、何故かえびす様だけは、各地に居残られ、留守を守護なされます。
他の神様から置いてけぼりとなられまえびす様をお慰めようとして始まったのが、「えびす講」
の起源とも伝わります。
みなさまの商売繁盛と開運招福を心より御祈願申し上げつつ、有り難く美味しく頂戴致しました。