砂の王国
俺はまだ自分の運というやつに貸しがある。さぁ、勝負だ。全財産は、3円。転落はほんの少しのきっかけで起きた。大手証券会社勤務からホームレスになり、寒さと飢えと人々の侮蔑の目中で閃く――「宗教を興す」段ボールハウスの設置場所を求めて辿り着いた公園で出会ったのは、怪しい辻占い師と若い美形のホームレス。世間の端に追いやられた3人が手を組み、究極の逆襲が始まる――驚愕のリアリティで描かれる極貧の日々と宗教創設計画。上下巻に分かれており、読み応えは抜群1円単位でカツカツとする暮らしぶりから、数十万単位でポンポンと金払いの良さを発揮するのが同一人物でありながらも、ラストではまた最初に戻る。ような数奇な、ともすれば絶望しかねない物語 なのだけれど、ラストの「あ、百円だ」という言葉になんだかクスリと笑ってしまいました。荻原浩作品の「世論」は、ありえないくらいに掌返しをしてくる特徴があるけれど、「万物の神が人間ばかりを救うはずがない。そろそろ他の生き物のために、人間に鉄槌を下す日が来てもおかしくはあるまい」的な言葉が最後に刺さってきました。2020年233,234冊目。