百花
<あらすじ>大晦日、実家に帰ると母がいなかった。息子の泉は、夜の公園でブランコに乗った母・百合子を見つける。それは母が息子を忘れていく日々の始まりだった。認知症と診断され、徐々に息子を忘れていく母を介護しながら、泉は母との思い出を蘇らせていく。ふたりで生きてきた親子には、どうしても忘れることができない出来事があった。母の記憶が失われていくなかで、泉は思い出す。あのとき「一度、母を失った」ことを。泉は封印されていた過去に、手をのばすーー。現代において、失われていくもの、残り続けるものとは何か。すべてを忘れていく母が、思い出させてくれたこととは何か。<感想>同著者による「世界から猫が消えたなら」も泣けましたが、川村作品は間違いがないと改めて思いました。もしも親や身近な人間が認知症になったなら、、、ということはきっと誰しもが多かれ少なかれ考えたことはあるのではないかと思います。この作品に答えがあるわけではないし、いまだ解明されていない部分の多い脳のことゆえ、一概に答えやハウトゥーがあるわけではないのもわかっているけれど、その時がきた時に、しっかりとその人と向き合う覚悟や姿勢が保てるように常日頃から自分の心を磨いておきたいと感じました。2020年277冊目。