21世紀の資本論 | 秋山のブログ

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週刊東洋経済の7/26号を読んだ。トマ・ピケティ氏が書いた「21世紀の資本論」という書の特集号だった。

雑誌の解説や著者のインタビューを読んで判断すれば、その結果は、スティグリッツ教授がその著書で書いていること、私がここで書いていることとほとんど変わらないようだ。しかし素晴らしいことは、莫大なデータ収集による実証研究である点である。

著者のインタビューにおける本書の重要な指摘点を引用する。
P31『①経済成長率よりも資本収益率が高くなり、資本が持つ者にさらに資本が蓄積していく傾向にある、②この不公平は世襲を通じて拡大する、③この不公平を是正するには、世界規模での資産への課税強化が必要だ』

経済成長率より資本収益率が高いことの意義について考察してみよう。
おさらいであるが、お金の本質は借用書のようなものである。誰かが貯蓄するためには、誰かが借金をしなくてはいけない。資本はもともと存在しているものではなくて、人々が生活する上で借りたり返したりした結果である。経済における成長とは消費と一致した有効な生産の増加であるが、一人当りの成長はすなわち一人当りの収入の増加であり、収入が増加すれば借りたり返したりの額は増えるだろう。成長率より資本の増加率が上回るためには、例えば国が延々と借金を増やすようなことや、サブプライムローンのように市民が不相応な借金をするようになるなどの歪なことが必要になるはずだ。
資本に対して得られた収益は、全て溜め込まれるわけではなく、使われもするので、直ちに過剰な蓄積と断ずることはもちろんできない。ただし、資本収益率と成長率の差の大きさや、その時点での国の収支のバランス、生産性の増加率と収入の増加率の違いを見れば、大凡のことをつかむことはできるだろう。

不公平是正の世界規模での資産への課税強化は、基本的に正しい。そのための施策は、資本の自由な移動に対するものや、タックスヘイブンの撲滅等いろいろできるだろう。ただし、別の部分で述べられた著者の金融緩和に対するスタンスには反対だ。金融緩和は金利を低く保つための政策であり、金利との比較において資本収益率に抑制的に働くだろう。さらには金融緩和によるお金を(もちろん仕事として)勤労者層に配分し、富裕層をインフレ税のターゲットにするという戦略もあるだろう。それから累進課税に関してもよりよいアイデアがある。消費に関しては大幅に控除した上で、高い累進性を課すことだ。著しい需要不足の現代においてはそれが適切なはずだ。インセンティブの問題は解決できるだろうし、キャピタルフライトも抑制する。