「リカード貿易問題の最終解決」から。
現在の需要不足による不況とはどんなものかということと、その解決策に関しての記述がある。TPPに関する記述に続いて記載されている。
P23『現に日本では,製造業に従事する人びとの(有業者に占める)相対比率も,従業者の絶対数も減少しつつある.(中略)生産性が高くなればなるほど,それに従事できる人口は比率的には減少する.現在では,第1次産業・第2次産業あわせて,従業者人口比率は30パーセントを切っており,将来はそれがさらに減少すると思われる.そのような事情の中で政策として重要なのは,経済の第3次産業化・経済の高度化である.(中略)サービスは地域固着型のものが多く,グローバル化と大きな国際的賃金率格差のもとにおいても,日本に維持可能なビジネスとなる.グローバル化時代に日本に必要なのは,輸出産業の振興ではなく,サービス産業の振興・発展である.(中略)国内需要が伸びないために,さらに輸出競争力を伸ばすべく,生産性の向上と賃金その他のコスト要因を切り詰め,雇用労働者数の削減を進めることになる.しかし,それでは国内需要は伸びず,さらに輸出増強に頼らざるをえない.日本が陥っているのは,まさにこうした悪循環である.経済の高度化を進め,安定して持続可能な成長を可能にするには,(実質)賃金を上げ,お金の使い方を変える以外にそれを実現することはできない.』
既に同様のことは、何度も書いているし、似たような主張が各所で見られるが、これほどまとまって分り易く書かれたものはないだろう。
この後、どのサービス業を増やすかという話が出てきて、医療や介護、保育や教育という話が出てくる。ここに書かれていることではないが、安倍総理は、医療は成長産業であるということの意味をまったく間違えて捉えている。新たな輸出産業だと捉えているのである。それがまったく無駄であるということではないが、実際は内需拡大を担う成長産業である。前述のごとくより多くのお金が行き渡るようにはかるのが正解であるはずだが、注入するお金を絞ることにより、供給力が減少するという事態にすらなっている。何とかして安倍総理の目を覚ませられないか考える次第である。