ステグリッツ教授はかく語りき(中央銀行と失業率) | 秋山のブログ

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人々の暮らしの話で、中央銀行のために人々の給与が抑えられている話を書いた。
不況に関して中央銀行、日本の場合日銀が戦犯なのは疑いないだろう。その誤りの一つは、インフレの管理こそ重要という誤った思想である。他にも誤った思想を持っているようだ。

P352
『中央銀行が主眼を置いているのは、いかにして”労働市場の柔軟性”を高めるかという点で、それはふつう、賃金を、特に最低賃金と雇用保障を引き下げることを意味する。』
P360
『現在の一般通念の主潮は、中央銀行は独立機関であるべきだというものだ。。。(中略)。。。アメリカとヨーロッパの独立した中央銀行は、。。(中略)。。。インドや中国、ブラジルなどの独立性の低い中央銀行と比較して、大きく見劣りしたと言っていい。理由はあきらかだった。アメリカとヨーロッパの中央銀行は、事実上金融部門に牛耳られてきたからだ。』

中央銀行は、失業率にもっと注意を払うべきだ。しかしながら、労働者の給与を安くあげたい意向にそったとんでもない論理がはびこっている。

P378
『経済学者たちはFRBに、失業対策にとりくむべきではない理由も提供してきた。動的な経済においては、人々が転職を繰り返さなければならず、それには時間がかかるから、自然失業率が生じる。経済をその自然な状態以上に押し上げることは、経済を常に加速しつづけるインフレ状態に押し上げることになる(この見解では)。。。(中略)。。。この発想の根底には、失業レベルとインフレの加速率のあいだに安定的な関係があるという仮説が存在するが、その仮説は時の試練に耐えられなかった。』

インフレはそれ単独ではまったく悪いものではないし、(たいしたコストなしで)抑えることはそれ程難しいことではない。どのような機序でインフレがおこるかという考察がまったく的外れであったりして進んでいないことが何より問題だろう。インフレの抑制は、景気を冷やしたり、失業者を増やしたりしても実現すべきことなどでは決して無いだろう。

P351
『失職者の割合の高さは、たんに仕事を失った人々や終業時間を減らされた人々に影響を与えるだけではない。そういう状況では労働者が競って仕事を求めるので、賃金が下がって下位九九パーセント全体が痛めつけられる。』

不況とは需要不足である。中下層の労働者の給与こそ、需要の源である。であれば当然、失業率を改善することは、不況対策の根幹であるはずだ。
日銀の目標を失業率とすることは、理にかなっているが、しかしこれは日銀だけで達成できるものでもない。達成義務まで言ってしまうのは無理があるのは確かだろう。達成のためには政府の協力が当然必要だ。この手の議論を見てみると、日銀が協力しないから達成できないと政府が言い、政府が協力しないからうまくいかないと日銀が言うような、お馬鹿な状況も見受けられる。とりあえず失業率を目標とすることをうたって、互いに協力しあって実現してほしいものだ。