患者さんのあしのすねを探って
ここだなと思ったところに ちょこちょこと軽く鍼をあてると
おなかがぐるぐるっと動きます。
それは 経絡と言う身体を縦に走る気の流れる道筋と
経絡とつながっている内臓のかかわりでおこるものです。
毎日やっていることです。不思議だとはあまり思いません。
わたしたち鍼灸師にしてみれば。
そういう関わりの法則があって、鍼灸は身体を治すことができると言われております。
これは二千年以上続けて来られたことであります。
科学的な実験データをとる鍼灸の生理学的な研究、たとえばこのツボをおせばここの血流がよくなったなどは、近年よくおこなわれています。これは貴重でありがたいことです。今まで鍼を受けたことのない人が、科学的に証明されているのならば安心と思ってくださるかもしれませんので。
この分なら、鍼灸が「気」の作用である、ということも科学で解き明かせるのでは?と言われることがありますが、まだまだだと思います。
その理由と申しますか、難しそうな実例があります。
まずは、すごくざっくり言えば、データに沿った治療は多数派に有効です。そして鍼灸は多数派からこぼれたお一人おひとりにもアプローチをさせてもらい、変化を起こすことができます。ひとりひとりで作用するものが違うのです。
そして、もう一つ、患者さんの中には、治療台の上に横たわっただけで、おなかがぐるぐる動き始める人がいます。
ここ一週間くらいおなかが固まっていて食欲が無いんです。
とお話ししてくださるその途中から、こちらはまだ何もしていないのにおなかが動くのです。
それは、常連さんであれ初診の方であれ、ときどきにおこります。
鍼灸師と患者さんが「気」をあわせて治療に臨んだ時に、体が反応するのではないかと思っています。
この動きの科学的な証明はまだまだ難しそうな気がします。