天之御中主神 神話 解釈
『古事記』、『日本書紀』ともに天之御中主神に関する記述は非常に少なく、『延喜式神名帳』にも天之御中主神の名前や祭った神社の記載はない。そのため、天之御中主神は中国の天帝の思想の影響によって机上で作られた神であると解釈されてきた。しかし天之御中主神には倫理的な面は全く無いので、中国の思想の影響を受けたとは考え難いとする意見もある。至高の存在とされながらも、信仰を失って形骸化した天空神は世界中で多くの例が見られるものであり、天之御中主神もその一つであるとも考えられる。
日本神話の中空構造を指摘した河合隼雄は、月読命(つくよみのみこと)、火須勢理命(ほすせりのみこと)と同様、無為の神(重要な三神の一柱として登場するが他の二柱と違って何もしない神)として天之御中主神を挙げている。