天津甕星(あまつみかぼし) ①

 

 

天津甕星(あまつみかぼし)は、日本神話に登場するである。別名、天香香背男(あめのかがせお)。星神香香背男(ほしのかがせお)、香香背男(かがせお)。

 

 


古事記』には登場しない。『日本書紀』の葦原中国平定にのみ登場する。




【原文】


 一云 二神、遂誅邪神及草木石類、皆已平了。其所不服者、唯星神香香背男耳。

 故加遣倭文神建葉槌命者則服。故二神登天也。倭文神、此云斯圖梨俄未。 

 




【書き下し文】


 一あるに云はく、二ふたはしらの神 遂に邪神(あしきかみ 草木石くさきのいはの類たぐひを誅つみなひて、皆己すでに平了(むげをはりぬ。其の服まつろはざる者、唯 星ほしの神かみ香々背男耳(かせをのみ)



 故れまた倭文神しとりのかみ建葉槌命(たけはつちのみこと)を遣つかはせば、則すなはち服(まつろ)ひぬ。故(か)れ二神 あめに登る。倭文神、此をば斯圖梨俄未(しとりかみ)と云ふ。

 





本文(上述)では、経津主神(ふつぬしのかみ)・武甕槌命(たけみかづちのみこと)は不順(まつろ)わぬ鬼神等をことごとく平定し、草木や石までも平らげたが、星の神の香香背男だけは服従しなかったので、倭文神(しとりがみ)・建葉槌命(たけはづちのみこと)を遣わし懐柔したとしている。



第二の一書では天津神となっている。経津主神と武甕槌命が、まず高天原にいる天香香背男、別名を天津甕星という悪い神を誅してから葦原中国平定を行うと言っている。