備後護国神社 宮本武蔵と福山
この神社の境内にはNHK大河ドラマ「武蔵」の中でも紹介された宮本武蔵が座ったとされる「腰掛石」(こしかけいし)が安置されている。武蔵は巌流島の決闘ののち、大坂の役(慶長19年(1614年)-元和元年(1615年)において、俗説では豊臣方として参戦したとされているが、文献では徳川方である水野勝成(みずの かつなり)の陣において嫡子の水野勝俊(みずのかつとし)付として名前が記されている。そんな武蔵と水野家との関係を思い起こさせるのが腰掛石で伝承によれば寛永年間(1624年~1629年)に武蔵が福山を訪問したとき勝成の従兄弟で水野家二番家老である中山将監(なかやま しょうげん)の屋敷で饗宴が催され庭園で腰を掛けた石がこれであるという。そして水野家断絶後に入封した阿部氏の時代にも家老下宮三郎右衛門の屋敷に引き続きあったが、福山藩廃藩に際して当時の阿部神社に奉納されたといわれる。武蔵が実際にこの石に腰掛けたかは明らかでないが歴史的ロマンがある伝承といえるだろう。