田の神 田の神の祭り 収穫時の祭礼 ①
穂掛け(ほかけ)
穂掛けとは刈初めの行事で、刈入れに先だって少量の稲穂を田よりもってきて神前にかけ、新米の焼米を供えるもので、その年の最初の稲米を神に供える神事である。西日本では八朔の穂掛けと呼ぶことがあり、その場合は八朔(はっさく)の日(旧暦8月1日)を祭日としている。
刈上げ(かりあげ)
刈上げとは稲刈り終了後におこなわれる行事で、収穫祭の代表となっている。田の神が田を去るときにおこなうものとも考えられている。田の脇に刈穂のニホを積んで祭るのが古い形式であったという。この祭日は地方によって違いがみられ、東北地方では「三九日」(みくにち)、関東地方の北西部から甲信越地方にかけては「十日夜」(とおかんや)、西日本から千葉・茨城・埼玉の一部など太平洋沿岸にかけてでは「亥子」(いのこ)、九州では霜月祭(しもつきまつり)などと呼ばれる。仕事に用いた鎌を洗って飾ったり、カリアゲモチというおはぎ(ぼた餅)を田の神に供えたりする。
三九日(みくにち)
三九日とは、旧暦9月9日・19日・29日のこと。クニチ、オクンチ、ミクンチ、サンクニチなどの呼称もある。各地でさまざまな行事がみられるが、東北地方では9月29日までに稲を取り入れるとされる。また、9日の餅を食べた後、10月になってから神が出雲国に旅立たれると信じられていた。神無月の伝承とこれを結びつけたがゆえに混乱の生じた地域もあったが、旧10月中旬以降に神を田から送る祭は各地でおこなわれた。