太宰府天満宮を舞台にした作品 能楽
· 世阿弥(ぜあみ)『老松(おいまつ)』
能では一番目に演じられる初番目物(しょばんめもの)。粗筋は梅津の某(うめづのなにがし)(ワキ)が夢の告げで筑紫安楽寺(太宰府天満宮)に行くと、老人(前シテ)と若い男(ツレ)が咲き誇る梅の垣を囲っている。飛梅(とびうめ。後述)とその脇の古松(老松)の謂われを尋ねると、2人はその謂われを語り、梅と松が唐の国でも尊ばれたことを述べて神々しい姿で去る。梅津の某が老松のかたわらに祗候していると、老松の神霊(後ジテ)が現れ、客人を慰めようと様々な舞楽を奏し神託を告げる。この後ジテは老人の面に白髪をたれた老神の姿で登場し、その舞いは荘厳な真ノ序ノ舞(しんのじょのまい)である。因みにツレの若い男は実は飛梅の精で、飛梅とは道真が京から左遷された時、京から飛んできたとされる梅である。