スセリビメ 解説
神名の「スセリ」は「進む」の「スス」、「すさぶ」の「スサ」と同根で、積極的な意思をもつ女神の意である。この女神の持つ激情は、神話において根の国における自分の父の試練を受ける夫の危機を救うことに対して大いに発揮されるが、一方で夫の妻問いの相手である沼河比売に対して激しく嫉妬することによっても発揮される。この嫉妬の激しさは女神の偉大な権威を証明するものだという説がある。
根の国での説話は、結婚相手の父から試練を与えられて、結婚相手の助言や手助けによって克服するという課題婚と呼ばれる神話の形式である。オオナムジはこの試練をスセリビメの助けを得て乗り越え、正妻としたことにより、真に大国主になることができたと考えられる。
本居宣長は、「六月大祓の祝詞」に登場する「根国底国に坐す速佐須良比売(はやさすらひめ)」はスセリビメと同神であるとしている。