天孫降臨 古事記 木花之佐久夜毘売と石長比売

 


邇邇藝命は笠沙(かささ)の岬で美しい娘に逢った。娘は大山津見神(オオヤマツミ)の子で名を神阿多都比売(カムアタツヒメ)、別名を木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤビメ)といった。邇邇藝命が求婚すると父に訊くようにと言われた。そこで父である大山津見神に尋ねると大変喜び、姉の石長比売(イワナガヒメ)とともに差し出した。しかし、石長比売はとても醜かったので、邇邇藝命は石長比売を送り返し、木花之佐久夜毘売だけと結婚した。



大山津見神は「私が娘二人を一緒に差し上げたのは、石長比売を妻にすれば天津神の御子(邇邇藝命)の命は岩のように永遠のものとなり、木花之佐久夜毘売を妻にすれば木の花が咲くように繁栄するだろうと誓約(うけひ)をしたからである。木花之佐久夜毘賣だけと結婚したので、天津神の御子の命は木の花のようにはかなくなるだろう」(「我之女二並立奉者有因 使石長姬者 天神御子之命雖雪零風吹 恆可如石而常堅不動坐 亦使木花之佐久夜姬者 如木花之榮榮坐 因立此誓者而使二女貢進 今汝令返石長姬而獨留木花之佐久夜姬 故今後天神御子之御壽者 將如木花之稍縱即逝矣」『古事記』)と言った。それで、現在でも天神御子の寿命は長くないのである。