神社建築(じんじゃけんちく)


神社建築(じんじゃけんちく)は、神社建築社殿建築(しゃでんけんちく)ともいう。



今日の神社建築は、一般に、本殿(ほんでん)幣殿(へいでん)拝殿(はいでん)が中心である。神社を訪れると、本殿の手前に拝殿(礼拝用の建物)が建っており、賽銭箱が置いてある。拝殿は参拝者が祈祷(きとう)などを受ける場所になっていることもある。



拝殿の奥に御神体を収める本殿がある。本殿は拝殿の奥にあってみえにくいため、一般の参拝者は拝殿を神社建築の中心的建物と考えがちである。本殿は流造(ながれづくり)春日造(かすがづくり)が一般的で、小型の本殿では、風雨から守るために覆屋(おおいや)をかける場合もある。 拝殿と本殿をつなぐ部分に幣殿が造られることも多く、これらを一続きに建てる場合も多い。建物の横に回ると、拝殿の奥に幣殿や本殿を確認することができる。



本殿は神がいるとされる神聖な場所であるため、瑞垣などで囲われたり、覆屋が造られ、普段はその内部をみられないことが多い。一部の神社では山や岩を神体として崇めるため、本殿を持たず、神体を直接拝むための拝殿のみがあるところもある(大神神社金讃神社(かなさなじんじゃ)など)。このように、社殿のない神社が本来の形式であったと考えられる。



仏教伝来以降の神社建築は、日本の上古(じょうこ。日本史、特に文学史 の時代区分の一。文献の存する限りで最も古い時代。ふつう、大化の改新のころまでをいうの建築を復古的に採用し、仏教建築のデザインを意識的に排除しつつ成立したと考えられる。神社建築の特徴の一つとしては、その様式の尊重がある。神社建築は、一宮(いちのみや)などの各有力神社において固有の様式を採っており、なおかつ、その固有の伝統的な様式を維持しようと努めている。そのため、神社建築の様式を解明することは、その神社の祭神の性格を知る上で重要な手がかりの一つとなる。後にできた神社においても、建立当初の様式を保つものが多い。