八福神(はちふくじん)
七福神に一神を加えて八福神(はちふくじん)としているケースがある。
お多福(おたふく)
京都の清水寺の「清水寺八福神」、横浜市鶴見区の横浜熊野神社の「鶴見八福神」ではお多福を加えて八福神とする。お多福の起源は、鎌倉時代初期の大工の高次の妻、阿亀(おかめ)。これに女性を表わす舞の面(お多福)や、天之宇受売命(アメノウズメノミコト)のイメージが習合した神格。寿老人(白髯明神)とセットで祭られたり、弁天の代わりに七福神に入れられることもある。
吉祥天(きっしょうてん)
千葉県八千代市の「八千代八福神」、東京都八王子市の「八王子七福神」、埼玉県久喜市栗橋の「くりはし八福神」では吉祥天を加えて八福神とする。吉祥天とはインドのラクシュミー女神のことで、毘沙門天の妹または妃という。幸福・美・富などの神。弁天の代わり(または福禄寿の代わり)に七福神に入れられることもある。
達磨(だるま)
横浜市瀬谷区の「瀬谷八福神」、愛知県豊橋市の「吉田七福神」では達磨を加えて八福神とする。達磨は、5世紀頃の人で南インドの王子ともペルシア人ともいわれる高僧で、中国の南朝の宋に渡り極東の禅宗の開祖となった。少林寺において坐禅9年、手足が腐って落ちたと伝わる。日本の曹洞宗や臨済宗もその門葉。
宇賀神(うがじん。男弁天)
東京都文京区の「小石川七福神」では弁才天が通常の弁天像ではなく「宇賀神」となっている。宇賀神は人間の頭で首から下は蛇という神で、弁財天と習合した日本土着の神である。宇賀神を弁才天とすること自体は、他の一般的な七福神でもままあることで珍しいことではないが、小石川七福神の場合「男弁天」「女弁天」の二神となっており合わせて八福神となっている。この男弁天・女弁天は、どちらも通常の弁天像ではなく、宇賀神であり、男弁天は老人(男性)の宇賀神、女弁天は若い美女の宇賀神となっている。