ジャガンナート 祭礼
6~7月(ヒンドゥー暦3月)の9日間、プリーで催されるラト・ヤートラー(ରଥଯାତ୍ରା(Rath Yātrā)、「山車の行進」)祭では、ジャガンナートら3人を載せた豪華な装飾が施された巨大な山車(ラト)が大通りに出され、グンディチャー寺院(Gundichā Mandir)までの約2.7kmの道程を練り歩く。この祭りはクリシュナの故郷帰還を記念するもので、ジャガンナートたちは行進の道すがら、彼らの寺院を建ててくれたおばグンディチャーの家であるマウシマー寺院(Mausimā Mandir)を表敬訪問し、そこで彼の好物であるポーダ・ピター(poḍa piṭhā 、関西風お好み焼きに少し似た、オリッサ地方の粉もの料理)を振る舞われ、グンディチャー寺院に7日間留まった後、再びジャガンナート寺院へと帰っていくとされる。この神聖な行列を観た者には福徳があると信じられており(darśana ダルシャナ)、山車の周りは毎年大勢の人々でごった返している。
13世紀末~14世紀初期のフランシスコ会宣教師オドリーコ・ダ・ポルデノーネ(Odorico da Pordenone)は、当時のこの祭りについて記録を残している。彼は救済を求め、ジャガンナートの山車に轢かれて死ぬことを望む信者について書き残した。 実際に行進する車輪の前に身を投げ出す信者が後を絶たなかったという。そのためイギリス植民地政府によってこの「飛びこみ自殺」の禁止令が出された。
また、このラト・ヤートラーが京都の祇園祭の原型になったとも言われている。大阪・吹田市の国立民族学博物館にはこの山車の巨大なレプリカが展示されている。