中道 大乗仏教

中論・中観

ナーガールジュナ(龍樹。りゅうじゅ)は、説一切有部らを論駁(ろんばく)する形で、「八不」(不生不滅・不常不断・不一不異・不来不去)に象徴される『中論(ちゅうろん)を著し、釈迦の中道(及び縁起)の概念を独自の形で継承した。

これを引き継ぐ形で、大乗仏教の一大潮流である中観派が生まれた。

天台宗

ナーガールジュナの『中論』や中観の概念は、中国へは三論宗(さんろんしゅう)としてそのまま伝わる一方、天台宗の事実上の始祖である慧文(えもん)もまた、『中論』に大きな影響を受け、その思想を中諦(ちゅうたい)として引き継いだ。諦とは真理という意味である。

中国で説かれた中庸(ちゅうよう)と同一視されることもあるが、厳密には別のものである。中庸の「中」とは偏らないことを意味し、「庸」とは易(か)わらないこと、と説明されている。中道の「中」とは偏らないことを意味し、「道」は修行を意味するとされる。