仏教 苦、その原因と解決法
仏教では生きることの苦から脱するには、真理の正しい理解や洞察が必要であり、そのことによって苦から脱する(=悟りを開く)ことが可能である(四諦。したい)とする。そしてそれを目的とした出家と修行、また出家はできなくとも善行の実践を奨励する(八正道。はっしょうどう)。
このように仏教では、救いは超越的存在(例えば神)の力によるものではなく、個々人の実践によるものと説く。すなわち、釈迦の実体験を最大の根拠に、現実世界で達成・確認できる形で教えが示され、それを実践することを勧める。
なお、釈迦は現代の宗教が説くような「私を信じなければ不幸になる。地獄に落ちる」という類の言説は一切しておらず、死後の世界よりもいま現在の人生問題の実務的解決を重視していた。即ち、苦悩は執着(しゅうじゃく)によって起きるということを解明し、それらは八正道(はっしょうどう)を実践することによって解決に至るという極めて実践的な教えを提示することだった。