富士講 活動



富士講の活動は、定期的に行われる「オガミ(拝み)」とよばれる行事と富士登山(富士詣)から成っている。オガミにおいて、彼らは勤行教典「オツタエ(お伝え)」を読み、「オガミダンス(拝み箪笥)」とよばれる組み立て式の祭壇を用いて「オタキアゲ(お焚き上げ)」をする。また信仰の拠りどころとして富士塚(ふじづか)という、石や土を盛って富士山の神を祀った塚(自然の山を代用することもある)を築く。現在、江古田えこだ。東京都練馬区)、豊島長崎とよしまながさき。豊島区)、下谷坂本したやさかもと。台東区)、木曽呂きそろ。埼玉県川口市)の4基の富士塚が重要有形民俗文化財に指定されている。富士詣は彼らの衰退とともにほとんど行われなくなったが、現在でも彼らを富士山で見ることができる。



上に述べたものとは別に、修験道に由来する富士信仰の講集団があり、彼らも富士講(浅間講)と名乗っている。中部・近畿地方に分布しているが、実態は上で述べたようなものと大きく異なり、富士垢離とよばれる初夏に水辺で行われる水行(すいぎょう)を特徴とする。また、富士山への登山も行うが大峰山(おおみねさん)への登山を隔年で交互で行うなど、関東のものには見られない行動をとる。