マハーバーラタ 内容
パンチャーラ国にはドルパダ王子と仲の良いドローナという少年がおり、ヴェーダをともに学んでいた。やがてドルパダは国王になると、ドローナに「幼い頃は我らの間に友情があったが、国王とそうでない者との間に友情は成り立たない」と諭した。ドローナはパンチャーラ国を後にするとクル族のパーンダヴァ国に入り、やがて首都のハスティナープラで腰を落ち着けた。ある日、王子達が困っているところに出くわし助けたところ、請われてある条件と引換に教師になることに同意した。弟子には、5人の王子(ユディシュティラ、ビーマ、アルジュナ、ナクラ、サハデーヴァ)の他にカルナが居た。ドローナは彼らに戦い方を教えると、かねてからの約束通り、ドルパダ王を捕らえるように願い出た。弟子達はパンチャーラ国に攻め入り、ドルパダ王を捕まえた。ドローナが「国王とそうでない者との間に友情は成り立たないのだから、君の国を奪ったのだよ」と言い放ったが、ドルパダ王の懇願を受け入れ、ガンジス川の北をドルパダ王に返還し、南にドローナの国を作ってパンチャーラ国を分割した。ドルパダ王はいつかこの屈辱を晴らすためにヤグナを行うと、双子の兄妹(ドゥリシュタドゥムナとドラウパディー)が生まれた。
ドラウパディーが絶世の美女に成長すると、ドルパダ王は花婿選びを開催した。カルナは優れた弓の名手ではあったがクシャトリヤ以上の階級という条件に合わなかったためアルジュナが勝利すると、パーンダヴァの5王子はドラウパディーを連れて家に帰った。アルジュナの母クンティーは忙しくしていたため、アルジュナがドラウパディーの花婿選びで勝ったという5王子の報告を、托鉢して施物を集めてきたものと勘違いし、兄弟で等しく分かち合うよう言った。こうしてドラウパディーは5王子が共有する妻になったが、これは彼女がラクシュミーの女神転生であるからであった。また、アルジュナが転生したインドラであることが明らかになった。
ユディシュティラが大きくなると、父王ドゥリタラシュートラはクル国の半分を与えた。ユディシュティラはカーンダヴァ森のインドラプラスタの王宮に住むようになった。5王子の叔父ドゥルヨーダナは彼らの幻想宮殿を訪ねると、水の中に落ちてしまい、ドラウパディーの女中達がそれを喜んで眺めた。元々次の国王は自分だと思っていたドゥルヨーダナは、この扱いに激怒して陰謀を巡らす。ドゥルヨーダナこそ悪魔カリの転身である。ドゥルヨーダナの怒りを知ったビシュマは、首都ハスティナープラを分割してユディシュティラに与え、平和を維持することを提案した。サイコロ賭博事件が起こり、ユディシュティラは全てを巻き上げられ、王国も失ってしまう。ユディシュティラは、妻ドラウパディーすら賭けで失い、彼女は奴隷にされた。かつて身分の違いを理由に袖にされたカルナは、落ちぶれた姿を目にして奴隷女と罵った。
サイコロ賭博事件の結果、5王子は13年間に渡る森の中での逃亡生活を強いられた。
その後、パーンダヴァ王家は5王子達カウラヴァ王家からの王国奪還を要求し対立が深まった。アルジュナが師ドローナに弓引く戦争をためらっていると、いとこのクリシュナが自分の正体がヴィシュヌであることを証し、「道徳的義務を遂行する自分のダルマを果たすべきで、友人や知人の死で苦しんではならない。彼らは肉体の死によってその病んだ魂を純粋平和な世界へ開放することが出来るのだから」と説いた。(『バガヴァッド・ギーター』)
クルクシェートラの戦いでカウラヴァ王家は全滅する。カルナはアルジュナによって殺され、昇天して太陽神スーリヤと一体化した。ドゥリョーダーナはビーマに殺された。ドローナは、ユディシュティラに捕まえられたところをドゥリシュタデュムナに殺され、悲報を聞いたアルジュナは師の死を悼んだ。