歓喜天 一般信者の作法と信仰




一般には、夫婦和合、子授けの神としても信仰されている。

待乳山聖天(まつちやましょうでん)として知られる本龍院(ほんりゅういん)の大聖歓喜天和讃に「世の父母が 其の子等の うき世を知らぬ 我侭を 無理の願いと 知りつつも その知恵浅きを 愍(あわれ)みて 願いを叶え 給いつつ 導き給うに さも似たり」と詠われているように、諸神仏に捨てられた祈願も歓喜天に一心にすがれば救って下さると信じられている。


一般信者にも祈祷作法が定められている。宗派・寺院によって様々であるが一般的には以下の通りである。

§ 体を清潔にする。

§ 般若心経観音経(もしくは観音経偈)を読誦する。

§ 歓喜天・十一面観世音菩薩の真言を唱える。

§ 勤行に精励する。

歓喜天礼拝のための読誦用の経典や次第・作法などを纏めた勤行次第・礼拝作法は、寺院によって差異はある。代表的な例を以下に挙げる。





生駒聖天

§ 五体投地(ごたいとうち)「南無帰命頂禮大聖歓喜雙身天王」


§ 普礼真言(ふらいしんごん)・「我此道場如帝珠 聖天部類影現中 我此影現本尊前 頭面接足帰命禮 南無大聖大悲歓喜天部類眷属降臨道場 哀愍於我悉地圓満」


§ 解穢真言(ぐえしんごん)懺悔文(さんげもん)・三帰・三竟・発菩提心真言・三昧耶戒真言・拍手(かしわで)


§ (祈念)


§ 開経偈・観音経・般若心経


§ 仏眼仏母(ぶつげんぶつも)真言・胎蔵界大日如来真言・十一面観音真言・歓喜天真言・三宝荒神(さんぽうこうじん)真言・毘沙門天真言・随求大明神(ずいぐだいみょうじん)真言・諸神通用真言・光明真言(こうみょうしんごん)大金剛輪陀羅尼(だいこんごうだらに)


§ 願文「願わくば上来誦持する所の功徳を以って 護持(某甲)並びに家族一同 身心堅固家内安全 息災延命諸難消除 殊には家業繁栄 いちいち心願成就 如意圓満ならしめ給へ。」・回向文(えこうもん)


§ 五体投地「南無帰命頂禮大聖歓喜雙身天王」




待乳山聖天

§ 五体投地「帰命頂礼 自在神力大聖歓喜雙身天王、鶏羅山中大眷属 悉地成就」


§ 懺悔文・三帰・三竟・発菩提心真言・三昧耶戒真言


§ (祈念)


§ 開経偈


§ 般若心経・観音経・十一面観世音菩薩随願即得陀羅尼経等随意


§ 胎蔵界大日如来真言・仏眼仏母真言・十一面観音真言・軍荼利明王真言・歓喜天真言・毘沙門天真言・三宝荒神真言・諸神通用真言・光明真言・大金剛輪陀羅尼


§ 結願文「我等所修三業善 回向大日浄法身 大光普照観自在 回向本尊歓喜天 受此供養増神力 回向鶏羅諸眷属 受此供養増補力 宝祚永久万民楽 四海泰平興正法 護持某甲除災患 家内安全得吉祥 心中所願悉円満 回施法界皆成就」


§ 五体投地「帰命頂礼 自在神力大聖歓喜雙身天王、鶏羅山中大眷属 悉地成就」



妻沼聖天(めぬましょうでん)

§ 帰敬文

§ 開経偈・観音経・般若心経

§ 歓喜天真言・一時金輪咒五大願・三帰依・光明真言

§ 願文・御宝号・回向文