日本における菩薩(ぼさつ)



日本では、仏教の教えそのものの象徴である如来よりも、身近な現世利益・救済信仰の対象として菩薩がより崇められてきた。主な菩薩として、母性的なイメージが投影される観音(かんのん)菩薩、はるか未来で人々を救う弥勒(みろく)菩薩、女人成仏を説く法華経に登場し女性に篤く信仰されてきた普賢(ふげん)菩薩、知恵を司る文殊(もんじゅ)菩薩、道端にたたずみ最も庶民の身近にある地蔵菩薩などが、尊崇されてきた。

また、神仏習合の一段階として、日本の神も人間と同様に罪業から逃れ自らも悟りをひらくことを望んでいるという思想が生まれた。それに基づき、仏道に入った日本の神の号として菩薩号が用いられた。八幡大菩薩が代表的である。

さらに、高僧の称号として「菩薩」の名が朝廷より下されることがあった。例えば行基菩薩などである。