阿修羅道(修羅道) 



六道のひとつ。妄執によって苦しむ争いの世界。果報が優れていながら悪業も負うものが死後に阿修羅に生る。

人間道の下とされ、天道・人間道と合わせて三善趣(三善道)、あるいは畜生道・餓鬼道・地獄道の三悪趣と合わせて四悪趣に分類される。五趣に修羅道はなく、天道に含まれていた。また「増一阿含経」では、神通力を持つ魔羅身餓鬼の阿修羅と、海底地下84000由旬(ゆじゅん)を住処とする畜生道の阿修羅が居るとしている。

「起世経」によれば、阿修羅たちは身長や寿命、三十三天の住人と特徴を同じくする。身長は1由旬で、寿命は一昼夜が人間の100年で1000歳。形色、楽、寿命の3点において人間に勝る。「正法念処経」では寿命は5000歳。

「正法念処経」によれば、衣食は望むままに現れ、天界と変わらぬ上等なものが得られる。「大智度論」によれば人間道に勝る食事ではあるが、竜王の食事が最後の一口がカエルに変わるように、修羅の食事も食べ終わるとき口の中に泥が広がるため、人間道に勝るものではない。





※「由旬(ゆじゅん)」

由旬(ゆじゅん)、サンスクリットヨージャナयोजन [yojana])は、古代インドにおける長さ単位

古代インドでは度量衡が統一されておらず、厳密に「1ヨージャナは何メートル」とは定義出来ないが、一般的には約11.3kmから14.5km前後とされる。また、仏教の由旬はヒンドゥー教のヨージャナの半分とも言われ、倶舎論の記述などでは普通1由旬を約7kmと解釈する。

古来より様々な定義がなされており、例えば天文学書『アールヤバティーヤ』では「人間の背丈の8000倍」となっている。他にも「帝王の行軍の1日分」「牛の鳴き声が聞こえる最も遠い距離の8倍」など様々な表現がなされている。